日本の固定買取制度(FIT)の大きな問題点

日本の太陽光発電の固定買取制度は世界に遅れる事10数年、2012年に始まりました。

不動産投資では借り手がつくのか?という不安を抱えながら物件を買い、借り手を見つけるためにそれなりのコストを払うわけですが、太陽光発電事業では太陽がある限り、制度化された安定したキャッシュフローが20年見込むことができます。実に美味しい商売です。

特に2012年当初に申請をして、権利を取得した人は2016年現在24円/kwhに対して、開始当初は2倍近い価格である40円で始まりました。

資源の無い日本に取って再エネの導入は不可欠ですし、それ自体には異論はありませんが、社会制度の設計が大きな問題を引き起こしているように思えてなりません。

民主党政権時に詰めの甘い制度が作られたことで、外資も含めて多くの事業者が参入し、様々な問題が露呈しています。




全国民負担の元で特定の業者だけが儲ける太陽光発電の売電制度

高い買取価格を確保後、買取枠を転売する為に事業を開始しない事業者があとを絶たず、事業の認定を受けても、ほかの業者に転売する為など、発電の計画を実行に移さない事業者が今も多数残っています。

現在の制度では、土地を持ち、太陽光パネルを設置できる者のみが儲け、太陽光パネルを買えない人、投資する余力のない人は、儲けるどころか電気代に上乗せされますます財政が逼迫するという問題を抱えています。

一部の金持ちの人間の富を、さらに国民全体で豊かにするという制度とも言えます。

また、詐欺といっても過言ではない手法で稼ぐブローカーが暗躍しています。当初の制度設計の一番の問題として土地の使用権利が完全に固まっていないのに、FIT認定が取れてしまいました。悪徳なブローカーはその辺りを隠して他者の土地で権利を獲得し、それを売り込んで手附金だけ貰い、実は土地権利関係、地元ともめててクローズできなくても知らん顔で、仲介料を荒稼ぎしました。

漸く今になって事業計画の承認制度がうまれ、暴走したFIT権利を剥奪する事が出来るようになりましたが、導入当初から土地の使用権まで確保して、一年以内に着工しなければ権利を削除するというルールにしておけば良かったものです。

なんとも詰めが甘い制度です。

ちなみにアイルズなど、太陽光をすでに導入されている戸建てやマンションでも事業計画を2017/9月末までに提出しないと、売電権利が失効しますのでご注意ください!




日本のエネルギー問題の解決には単純には結びつかない太陽光発電

太陽光発電はクリーンエネルギーの代表格として語られています。ある側面では事実ですが、いくつかの点に留意は必要です。

まず発電するときには確かに二酸化炭素は出しませんが、製造の工程で相応のエネルギーを使い、二酸化炭素を放出しています。また、毎年数パーセントづつ発電能力は劣化していき、20数年もすれば全廃棄が必要です。火力や原子力発電はその何倍もの期間を使えることを考えると、そこまで二酸化炭素削減効果はないかもしれません。

また、太陽光は昼間しか発電しません。電気を送電する電線には送電量の限界があります。太陽光の為に送電網を整備すると、それだけで過剰な設備が必要になるわけです。最近では出力抑制という制度で強制的に太陽光発電の電力を送電網に流さないようにする仕組みが発動しており、その場合は太陽光パネルで作られた電気は無駄に捨てられることになります。

このような太陽光発電所の乱立が、社会の役に立つものとはどうしても思えません。

そして日本を愛する者として何より看過しがたいものが、外資による太陽光発電権利の買い漁りと、転売です。

外資資本により日本の太陽光発電が変われるということは、全国民の電力賦課金という名の税金に類する資金、すなわち国民の財産が、有無を言わさず国外に流れるということです。

にもかかわらず、その電気が余剰となり捨てられることもあると思うととても遣る瀬無い気持ちになります。

太陽光発電のあるべき姿

日本は他国の真似でめちゃくちゃなFIT制度をはじめてしまいました。

この由々しき事態は是正すべきです。過去に作ってしまった高単価のメガソーラー発電所も含めて、日本のエネルギー政策全体感の中で必要なものは単価を下げて残し、不要なものは買取中止も含めて検討し、民間の新電力で民間自ら小売をする仕組みに変えていくべきではないでしょうか。

巨額の投資をしてしまった事業者からは凄まじいクレームが想定されますが、我々は日本の発展と健全なエネルギー政策を追求することを主眼とすべきです。

制度の導入は初めが肝心

国家の制度設計は、将来のあらゆるシナリオを予測して動かなければならないとても重要な仕事です

関係官庁の優秀な方々には、ぜひ日本の国益を如何にして守るかという点に於いて議論を尽くして未来を十分に予見した上での制度設計を行って頂きたいと、太陽光発電を見ると感じます。

私たちは、いかなる時も日本の国益と、財産、そして子供達の未来を守ることを主眼に、常に物事を考えていきたいものです。