羽田空港の一番新しいD滑走路ですが、実は当初案では新浦安駅上空を通過し、浦安市全域に深夜も含めてひっきりなしに飛行機が通過することになっていました。

その中で前市長の松崎さんが市民の知恵を借りながら国土交通省と粘り強く交渉を進めた結果として、今の最終形態に変更されることになった秘話があることはご存知でしょうか。

 

まず、当初案から現在の形に変更された際の国土交通省の発表を見てみましょう。

ご覧のとおり、新浦安の真上を通過する予定だったものが、浦安市の南端を通過する形になりました。

今は海沿いにも戸建や新築マンションが増え、一定の海側地区は影響は受けてはおりますが、当初案に比べれば騒音の影響を受ける市民の数は大幅に減少しています。

前市長の松崎さんはこの変更をどのように国と交渉したのかについて、以下のような秘話を語っています。

1.市民の知恵

当初案を松崎さんが聞いた時には当然反対意見を伝えたそうです。

しかし、国は「平行ではない滑走路など運用できない」と変更を拒否してきたそうです。

そんなことで困っていた松崎さんでしたが、浦安市には航空関係者が多く住んでおり、市内在住の国際線パイロットの方が貴重な情報提供をしてくれたそうです。

「ヨーロッパに平行にはなっていない空港があり、問題なく運用できている。」

この情報を浦安市の方で精査し国に情報を提示することで、松崎さんは国が主張する平行でない滑走路は運用できないという主張を覆せたと語っていました。

2.ディズニーを交渉のテーブルに

松崎さんとオリエンタルランドの信頼関係は強く、松崎さんはディズニーでの成人式を実現させた市長ですが、それも松崎さんとオリエンタルランドの経営層との信頼関係があったからでした。

ディズニーは徹底して日常とは切り離して、ディズニー独自の世界観を大切にしています。

よって外界や現実が見えることは絶対にあり得ないわけです。

そんなディズニーの真上を爆音で数分に一回飛行機が通過することになる状況は、米国のディズニー本社も看過できない事態です。

オリエンタルランドを通じてディズニーにサウンディングしてみると、予想通り「あり得ない」という反応でした。

松崎さんは国土交通省に対して、「このまま原案で突き進むと国際問題にもなりかねない」という指摘を行い、国土交通省側も現在の形に向けた真剣検討を開始してくれたそうです。

以上のような粘り強い松崎さんの交渉や市民、市内企業の協力により、浦安は今も静かな夜を過ごせているわけです。

羽田に着陸する際に見える浦安の夜景は大変綺麗ですが、10度の滑走路の方位変更には、こうした攻防の秘話があったというのは非常に興味深いものです。

ちなみに余談ですが、コロナで当面は難しいと思われますが、コロナ前には2030年までに5本目の滑走路が作られる計画がありました。

C滑走路に平行して滑走路を作る案が一番スロットを増やすことができ、有力な案とのことです。

また、羽田=りんかい線までの新線はすでにGoサインが出ています。こちらは必ず実現するでしょう。

実現した場合には新浦安から羽田へのアクセスは格段に便利になりますので、浦安市民による羽田空港の利用は大変便利になることと思います。