浦安市民からみると、朝の急ぎの時間帯に新浦安で通過待ちをさせられる通勤快速にはあまり良い印象は持たないかもしれません。
しかしながら、鉄道はすべての沿線住民のために存在するものですから、通過駅の自治体の希望で物事が決まるわけはなく、全体最適が図られることになります。
今回はそんな京葉線・通勤快速について考察してみます。
京葉線通勤快速とは?
まず京葉線の通勤快速についておさらいです。
以下の通り、激しく駅を飛ばし、ディズニーのある舞浜、新浦安、海浜幕張など大型の中間駅をすべてすっ飛ばします。
ご覧の通り新木場〜蘇我がノンストップとなっているため、東京〜蘇我は最速約30分程度で結ばれています。
蘇我駅利用者にとっては生命線とも言える通勤快速です。
一方で、海浜幕張、新浦安等の大型中間駅ユーザーからすると通過待ちが多く発生する原因となり、特定の列車が大混雑する要因ともなっています。
なぜ通勤快速はつくられたのか?
もともと京葉線はディズニー需要への対応と、もう一つの大きな意味として総武本線の混雑緩和のためのバイパスとしての位置付けで開業されました。
総武本線の快速電車は朝の通勤時はまったく身動きが取れないほどのすし詰め状態です。確かにこれに比べると京葉線は混んでいるとは言え、まだ駅員さんが押し込まなくても普通にドアが閉まります。
そんな総武本線の混雑を緩和するために、利便性の高い京葉線通勤快速を用意し、そちらに一定のお客さんを流す必要かがあったのです。
もし通勤快速がなくなると、東京に早く着きたいお客さんはまた総武本線に流れ込み、激混みとなってしまいます。
千葉県全体の鉄道網事情から、京葉線には今も通勤快速が設定されています。
海浜幕張、新浦安、舞浜が飛ばされる理由も、蘇我以遠の方が東京発の列車に乗り切れなくなってしまい、上記のバイパス機能を損なうことから、完全通過となりました。
今後の通勤快速はどうなるのか?
とは言え、これからもその考えが当てはまるとは言えないと考えています。
ディズニーの大幅拡張、新浦安のマンションホテル建設、市川塩浜のリゾートタウン開発、幕張新駅、海浜幕張の複数のタワーマンション建設、そして複数のオリンピック開催地に選ばれたことなど、沿線の急激な発展が見込まれます。
少なくとも浦安市では人口は微増傾向であり、海浜幕張駅利用者も着実に増加傾向です。
そうなると今度は京葉線のさらなる混雑が発生する可能性があり、総武本線のために京葉線を利用するという考えは成立しなくなります。
そうなるとすぐにできる解決策は、まずは通勤快速を無くして、本数を増やすことが挙げられます。
しかしそれですと蘇我以遠の方々の利便性が激しく落ちるため、少なくとも快速の増発と、最高速度100キロとどちらかというと遅めの運行速度の引き上げが必要になります。
運行速度をあげるためには、100キロしか出せない武蔵野線の旧車両を撤廃する必要があります。
じつは、山手線新型車両をオリンピック前に一気にやるという計画が出ているため、武蔵野線の車両交代も一気に進むかもしれません。
新型山手線E235の導入で京葉線の混雑が緩和される?!
こうして考えると、本数増加のために通勤快速の廃止と同時に、利便性維持のために快速増発、最高速度引き上げがオリンピック前の2019年あたりのダイヤ改正で実現する可能性はあり得るかもしれません。
そしてそれでも線路容量が足りない足りないとなると、いよいよ京葉線複々線化の話が現実的に議論されるようになるのでしょう。