最近の新木場駅駅の朝のラッシュ時には、10年前には見られなかった光景があります。
電車到着時にエスカレーターに猛烈な人が上り下り双方に殺到し、警備員さんを配置して交通整理を行っています。
新年や花火大会等のイベント時のような対応が、すでに京葉線新木場駅では常態化しています。
新木場駅の利用動向
新木場駅の乗降客が激しく伸びているのではないかと思い、過去の利用者数データを調べてみました。
(出社:wikipedia)
これを見ると上り列車で新木場に到着する10の乗客のうち5割が有楽町線、3割がりんかい線、残り2割が東京駅にそのまま向かうであろうことが読み取れます。
また、この10年間で実に25%もの乗降客数が増えており、マクロ経済的に見ても凄まじい伸び率です。
駅のファシリティは開業時から変わっておらず、ここまでの利用者状況になるとは予測できなかったのかもしれません。
ディズニーシー開業時に首都高は舞浜入り口を作ったり改良を進めましたが、新木場駅は変っていません。
今後の見通しは?
今後の京葉線の需要の見通しについても考えてみます。
京葉線沿線ではいま大型の開発がいくつも同時多発で勧められています。
以下が目玉となりそうなものを列記したものですが、これだけでも凄まじい開発が見込まれていることが分かります。
・潮見:オリンピック会場新設
・新木場:オリンピック会場
・葛西臨海公園:ラフティング場整備
東京アロハプロジェクト 大規模マンション建設
・舞浜:東京ディズニーリゾート大幅拡張
・新浦安:スターツショッピングセンター、クオン新浦安、アイルズ、三菱地所大規模マンション、ラグビー場、ホテル2000室超の新設
・市川塩浜: 80,0000平米の土地に市川塩浜リゾートタウンの建設 
・南船橋: 競輪場跡地再開発
・幕張新駅建設 
・海浜幕張: オリンピック会場、5000室近いタワーマンション建設
公園のPFIによる商業施設建設、レッドブルエアレース
・検見川浜:大規模マンション建設やビーチリゾートのリューアル
・千葉みなと:国指定の「みなとオアシス」に認定、モノレール延伸の可能性 
こうしてみるだけでも京葉線の需要がとんでもないことになりそうです。
これに対して、私達は何をしていくべきでしょうか。
京葉線に対してJRが取るべき戦略についての考察
以上を踏まえると、現在各所から声が上がっている京葉線=りんかい線の直通を行うことだけでは、根本的な解決にはならないことが見えてきます。
そもそもの京葉線の大幅な需要増に耐えられるようにする為に、より大胆な施策の検討が必要であると考えます。
それがまさに京葉線の「複々線化」であると考えます。
複々線化すべき区間は、大規模開発中であり、武蔵野線が合流してくる市川塩浜〜新木場の区間です。
単にりんかい線と京葉線の直通列車だけを先行させてしまうと、東京駅行きの列車が不足し、大規模な混雑になる可能性があります。
努力した結果、多くのユーザーからブーイングが出る可能性があります。
それなら有楽町線との一体運用を推進するという新しい考え方
スタックする京葉線、りんかい線直通問題を待ち続けるくらいならば、いっそのことメトロ有楽町線が新浦安まで複々線化も兼ねて延伸してしまう、というプランもありえるかもしれません。
全線高架になるため建設費はかかりますが、JRとメトロの優良民間企業二社と利益を享受する沿線自治体の連携であれば、ファイナンスの観点で現実性はより増すように思います。
新木場での乗り換え数も、上述のとおり、有楽町線の方が多く、ニーズとしてはむしろりんかい線直通よりも理にかなっています。
京葉線、りんかい線の直通は建設費がかからないことは大きなメリットですが、複々線化しないと東京行きの本数が激減し、京葉線ユーザーの利便性はさがり、乗客からはかなりのクレームにも繋がると思われます。またディズニー需要をさばききれないかもしれません。
そうなると複々線化を主眼として計画を練ることを前提とするプランを真剣に検討する必要があるのではないかと考えます。
もちろんいきなり複々線化ではなく、まずは新木場から有楽町線の線路を上にあげて、京葉線につなげ、直通運転を実現させることから始められます。これにより、早期に京葉線の利便性を高めることができますし、有楽町からディズニーに直通で向かうことができるため、京葉線の東京駅ホームが遠いという問題の新しい解決策にもなります。
(イメージ図)
さらに、これにより埼玉、東京、千葉が1つに繋がることになります。
素晴らしい鉄道ネットワークになりえるのではないでしょうか。