長年千葉県や千葉県内の自治体から陳情が行われているりんかい線と京葉線の直通運転ですが、今のところ実現する見込みはありません。

冷静に考えると直通運転によるデメリットも多く、数分の乗り換え時間の削減のために失うもの(例えば新木場から必ず座れる)が多いため、あまり必要性は感じません。

しかしながら、仮に「直通運転はすべきだ」ということが正しいものと仮定した時に、何故やらないのかということについて考えてみたいと思います。果たして運賃収受の問題だけなのでしょうか。

 

りんかい線の状況

りんかい線はこの数年間で利用人員も急激に伸びており、すでに黒字化も達成しています。債務も着実に減少しています。

株式の90%超を保有する東京都にとっては、早急に割安で売却する必要はないですし、またJRがりんかい線につなげる形で羽田空港行きの鉄道を新設するとしたら、りんかい線の価値は今よりも遥かに上がるはずです。

そう考えるとJRによるりんかい線の買収は価格面でなかなか折り合わないと思われます。

何故直通運転をやらないのか?

一方で経営統合などしなくてもりんかい線京葉線の直通運転は可能です。線路もすでにつながっています。

これをやらない理由として運賃収受の問題があると言われています。

例えば新宿から舞浜まで来る際に、りんかい線経由と東京駅経由では値段が違うのですが、現行のシステムだと判定ができないため、りんかい線の運賃を収受できないから、という理由です。

たしかに何も対策を取らないとそうなるのですが、ふと地上を走る首都高の料金体系を見ると、簡単な解決策があることに気付きます。

首都高も距離別料金になった時に、C1経由とC2経由で料金が変わる問題が発生しました。その判定のためにC2にETCのセンサーを取り付けて、経路を判定する運用を取り入れました。

鉄道にもSUICAという世界でも最も高速通信が可能なFelicaシステムが導入されており、利用率も首都圏だけを見れば100%に近い数字となっています。

これを使えば、新宿〜京葉線方面の旅客の経路判定は容易にできるのではないでしょうか。

東京駅の京葉線ホームと東京駅本体を結ぶ連絡通路コンコースに、新宿方面へ行く旅客用に経路判定のためのタッチセンサーを設置します。改札のような仕組みは要らず、単にタッチして東京駅に来たことを記録すれば良いだけです。

りんかい線を使った方が早い目的地に行く人は、ここをタッチしないと高いりんかい線経由の運賃が取られるようにすれば、必ず東京駅経由の旅客はタッチするでしょう。

(余談ですが、中国の空港では顔認証システムにより、空港内の監視カメラで、いまどこに誰がいるのかは全て個人別に把握する技術が導入されています。プライバシーの問題を解決できたとすると、これを使えばタッチすら必要ありません)

こうすれば投資額もわずかなもので料金収受の問題も解決できると思うのですが、それでも直通運転をやらないのは、むしろ必要性がない、利用者はあまり望んでいない、そもそも今の現状でも誰も困っていない、複々線化しないとダイヤが悪化する、と言った副作用が強いからではないかと推測しています。

りんかい線直通の前に、京葉線はより優先してやるべきことがあるのではないかと思われます。