投資家は往々にして「俺が金出してんだから・・」と傲慢になりがちですが、その資金を何倍にもして返してくれるのは投資を受けた企業であることを忘れてはいけません。

どちらが立場が上かとか、そういうことではなく、あくまでパートナー同士という関係性であることを忘れてはいけないでしょう。

さて、そんな投資家と企業家の関係ですが、機関投資家の集まりでのディスカッションの場で話題になり、改めてなるほどなぁと思ったことがあります。

 

PERの呪縛

日本の資本市場は長らくに渡りPER信奉が継続しています。

PER = 時価総額÷当期利益

PERで同業他社と横比較をし続けてきています。

つまり、当期利益が上がらなければ、いつまでも高すぎるPERということになってしまい、株価の上昇を抑える重しになってしまっています。

もちろん利益を上げることは重要な事ではありますが、特に成長期にある企業については積極的な成長投資と、マーケティング費用の投下は非常に重要です。

タイミングを逃すと、本来スケールできたものが、他社に先行されたり、縮小均衡に陥ったりしてしまいます。

これから成長を継続するには、一時的な赤字は許容して、成長を支援していくという姿勢が投資家側にも求められます。

PSRがもっと広まるべき

そんな時に参考になる指標がPSR(Price Sales Ratio)です。

PSR = 時価総額÷売上高

売上高倍率と言われる指標であり、昔からあった指標ですが、あまり浸透していません。

今でも特に日本では投資家に広く受け入れられている指標にはなっていません。

しかしながら、成長期にある企業は赤字になることはやむを得ない中で、PERでしか評価されなければ、成長資金は集まらずに事業は錆びついていきます。

これは日本や地域の繁栄にとっても非常に残念なことです。

失敗を恐れて、成功が見えているものにしか手を出さない時は必ずどこかで朽ち果ててしまいます。

もっとキャピタルマーケット側も企業の成長を支援するマインドを持って、PSRのような指標で企業の成長を支援していくべきではないでしょうか。

 

これは浦安の市政と市民の関係性にも言えること

これは浦安の市政と税負担を行う市民にも言えることでしょう。

市長や行政が、浦安の継続的な発展のために大胆な成長戦略を打ち出した時に、資金の出し手=市民 はその取り組み姿勢そのものを評価すべきです。

結果はどちらに転ぶかわかりませんが、浦安の成長のために何もしないことが、何よりも悪であるという認識を持つべきです。

もし新しい取り組みがうまくいかなかったとしても、浦安の持続的な成長ための政策であれば評価すべきであり、代替案も示さずに非難することは良くありません。

失敗が怖くなって、本来取り組むべき浦安の成長戦略には意識が向かなくなってしまいます。

もっともダメな企業とは成長をあきらめ、縮小均衡に陥った人達です。しかし、企業をそうさせてしまうのは、上記の通り実は投資家側にも責任があると言えます。

浦安についても今まさに「継続的な成長」vs「縮小均衡」の分岐点に来ています。

とはいえ、行政機関が自らの金だけで全ての企画実行をすることは望ましいことではありません。プロではない行政がエンターテイメントや興業系に手を出してうまくいった事例はほとんどありません。

そこで効果を発揮する手法がPFIです。アイデアは民間、費用も原則太宗を民間負担、しかし事業リスクについては部分的に官が負担してあげることで、民間事業者は安心して新しい取り組みにチャレンジできます。

指定管理制度のようにリスク、費用を全額負担するようなこれまでのやり方ではなく、世界各国で進む官民連携による地域活性を、ぜひ浦安でも推進するべきではないでしょうか。

うまく進んだ際には新しい税収も生まれ、防犯や福祉と言った必ず費用が発生する行政の重要な任務を手厚くすることにもつながります。

失敗を恐れて為政者が何もできなくならないように、資金(税金)の出し手である有権者側が、行政の新しい取り組みについて長期的目線で支えていくことがいま必要な事だと考えます。