浦安市からこれからの中長期の市の成長戦略を描いた「浦安市新総合計画」の素案が公表されました。
そして今市民に意見を募集中です。
市民が意見を提出できる募集サイトはこちらです。
上場企業で言えば中期経営計画のようなものですから、アナリスト達が強い関心を持つ発表となります。市民の皆さんは関心を持っていただいているでしょうか。
さて、そんな計画案の全体をざっとレビューしてみました。
結論から言いますと、「どうもしっくり来ない」という印象です。矛盾点も多々含まれる構成になっているように感じます。
特に、成長戦略を纏めた資料にも関わらず財政赤字の見通しが記載されている点には、驚きを隠せませんでした。
・すでにこれまでも子育て支援などやれることはやっている
・しかし、生産年齢人口は減る
・財政赤字へ転落の見通し
ということで、リーダーである内田さんがもはやこれからの浦安は縮小均衡でやむを得ないと諦めになられてしまったかのような新計画でした。
実際の数字での予測は以下のようになっている模様です。
ほんの数年先の2024年には財政指数ナンバー1と言われていた浦安市が財政赤字に転ずる予想です。
よく見ると物件費が数十億円単位で増加しています。最近オープンした三番瀬施設もあまり活躍されているとは言い難い状況ですし、金がかかる割に用途があまりにも限定的な子供図書館も愚策のように思えてならず、おそらくさらに金食い虫になってしまうでしょう。それらが更にのしかかるとすると浦安市の財政は大丈夫なのでしょうか。
苦しい地方自治体は率先して官民連携を活用して、民間にこの辺のコストを負担してもらうことで財政改善を図っているわけですが、浦安市は自前主義から抜け出せていません。
「官民連携を検討します」と記載はありますが、具体案がありません。固定の費用を払う民間委託は単なる委託であり、事業リスクと維持コストととに、アップサイドも民間に寄せるようなスキーム導入が必要です。
新計画とはいうものの、具体的に描かれているものはすでにだいぶ前から実行済みのものばかりで真新しいものはあまりありません。
一方で本来やるべき重要な未来志向の施策には具体性がないことが、この新計画の課題のように思います。
例えば、とても謎だったのが、人口減に歯止めをかけるために重要な子供施策の拡充の中にICT云々というのがありますが、その具体施策がeSportsと書いてある点です。
eSportsは一言で言えばゲームです。日本に不足しているAIエンジニアなどの養成には一ミリも役に立ちません。
eSportsが米国でも高校総連に認められたのは、これまで引きこもりでゲームをしていた子供達がチームで作業をするキッカケになった、という点が評価されたからです。しかしながら、使用するPCは公正な戦いのためにスペックは標準化されるので、あまりITエンジニアとしての能力はつきません。
つまりICT化推進とは関係ないということです。
米国ではすでに中毒性から、やはり危険視する親御さんも出てきており、高校生のeSport 浸透にはまだまだ紆余曲折ありそうです。
先日たまたま舞浜で大会をやったから、ということで安易に施策として書いているような印象を受けました。
この事例に代表されるように、これまでやってきたことしか具体例は書いておらず、この浦安経済が縮小に向かう危機的状況を打開するための新しい作戦が描かれていないことが、本計画の弱点になっているように思います。
かつて国政では事業仕分け、との名目で、重要な国益が失われたこともありました。そうなってはいけません。
この新計画の責任者である内田さんとしても、次の選挙までにこの流れを変えるような施策の方向性を出さないと、新しい候補者が練りに練ったプランで参戦してくるかもしれません。もちろんそれもいつかの無責任バラ色マニュフェストのようなものではあってはならず財源の裏付けが必要でありますが。
今のままの浦安市政舵取りには正直不安を感じてしまう新総合プランでした。
まだやったことのないことへのコミットは勇気がいるのかもしれませんが、良い仕事やまだ見ぬ明るい未来は、まだやったことのないことを切り開いたところにしかありません。
お金を使う、お金をケチるのは誰でも簡単にできます。どうやって歳入を増やすのか?論点はそこに尽きると思いますが、この「新総合計画案」には決定的にそれが欠けているように感じます。
ぜひ内田市政には浦安のために、今一度ビッグピクチャーで全体感を考え直して頂いて、前回得票の市民の期待に応えるべく全面修正に向けて頑張って頂きたいなあと感じた計画案でした。