1955年にミックスジュース用のミキサーのセールスマンだったレイ・クロックが、アメリカ人の会食のあり方を変えると言う壮大な計画に向けてその第一歩踏み出しました。



米国マクドナルドの歴史

リチャード&モーリス・マクドナルドの所有する7件のレストランをクロックはふと見つけました。マクドナルド兄弟の掲げるファストフードと言うコンセプトを目の前で見たクロックは、これが今外食に求められていることだと確信をしたそうです。アメリカでは、毎日毎日働きづめで時間がなくなる一方で、家族を大切にしたいと言う思いが拡大していました、そこでクロックはこの小さなチェーン店を270万ドルですべて買い取ることにしたのでした。

クロックは当初からクオリティー、サービス、クリーンネス、バリューの4つの価値を総称した「QSCV」を会社の価値観として共有し、これらはそのまま顧客への約束となるミッションステートメントの根幹となりました。これにより質の高い食べ物を便利に手ごろな価格で提供すると言うファーストフードのコンセプトを作り上げたのでした。

マクドナルドは瞬く間に成長し、世界最大のファストフードとなりました。このファストフード界の巨人は世界中に32,000以上の店舗を構え、毎日6,000万人に食事を提供しています。黄色いMのマークのゴールデンアーチは、全世界のマクドナルドのトレードマークとして、全世界の店舗に掲げられています。

これは世界のどこに行っても同じ味が食べられると言う意味でも、海外旅行者にも安心を与えると言う副次的効果もあります。

例えば北米の大学に行っている時には、学生なのでお金もなかったのですが、大学の入口にあるマクドナルドが心の支えでした。日本で食べていたビックマックが同じ味で安く食べられる安心感は、とても心強かったのは今でも記憶に残ります。

しかし、1990年代になって事情が変わってきました。顧客はもっと新鮮で、もっとおいしい食べ物を求めるようになり、健康的な食事を選ぼうと言う流れも起きました。消費者の健康志向が高まり、スターバックスでは5ドルもするラテが売れると言う事態が起き、マクドナルドは変化しなければ立ち行かなくなりました。

苦しい立場になったマクドナルドは2003年初頭に再起をかける計画を策定し、発表しました。「Plan to win」と言われる計画です。

マクドナルドは「世界一速いサービスレストラン」から自らのポジショニングを「お客様のお気に入りの食事の場とスタイルであり続けること」へと進化させることを決意しました。

このプランの下、マクドナルドは顧客を大切にすると言うサービス業の基本に立ちかえることにしたのです。そして会社の目標を、規模を大きくし店舗拡大することではなく、サービスを良くすることに置き換えていきました。

それまでの急速な事業拡大、店舗拡大を止め、得た資金をメニューの開発やお店のサービス、雰囲気の改善やマーケティングに投資するようにしました。

回転率を上げるために質素な作りとしていた店舗を、無線インターネットサービスの導入やおしゃれな内装へと変えていきました。

顧客体験に注目し、顧客満足を上げることに注力することにしたことで、マクドナルドは急激に回復していきました。そのプランを実行してから売り上げは実に50パーセント以上伸び、利益は4倍になりました。

以上がアメリカのマクドナルドの歴史ですが、日本のマクドナルドにも今、強い勢いを感じています





日本マクドナルドの動向

原田体制のもと、戦略なき経営のためにいちど日本マクドナルド社内は滅茶苦茶になりました。 原田体制のあと、本体から新たなカナダ人の女性社長のサラが就任し、まさにアメリカで行った顧客価値に基づいた新生マクドナルドへと軌道修正をしてきています。
サラが来日する前は株価大きく低迷し確か24万円ぐらいまで下がっていました。しかし、サラが全店舗を禁煙にすると発表した時、マクドナルドの株はまさにターニングポイントとなったと捉えています。
喫煙を禁止することで一時的に大きな収入を失うと言われています。しかし副流煙は非喫煙者にとってはこれほど嫌なものはありません。
かつ、タバコの煙の食事を不味くするし、何より子供を連れて行くことができなくなります。逆に言えばタバコを禁止することで、これらの問題が解決すします。
喫煙者からすると残念な発表だったかもしれませんが、健康の観点や、あらゆる世代への平等性と言う意味で大きな1歩となり、まさに顧客価値を体現できる社長の英断でした。
実際サラが日本にきてから株価は最高38万円まで上がり、既存店売上高も連続上昇しています。
これからはマクドナルドの成長には期待が高まるところです。
企業の成長とは、顧客満足によってドライブされるものだと言うことを忘れてはならなず、マクドナルドの紆余曲折はそれを学ぶには良いケーススタディーかもしれません。

マクドナルドの復活劇はしばらく続くでしょう。併せて、株式保有者には優待券として5000円相当の券と、配当が貰える事もリターン評価において重要です。

その何よりの証拠に、米国マクドナルドの本体は日本マクドナルドの株式を売却する計画を撤回し、継続保有することを発表しました。

これが意味するところは自明です。

これからの日本マクドナルドの成長に期待ですね。