ニューヨークにおける船の通勤活用
海と川に囲まれたNYでは船が通勤にも大活躍しています。
今回はニューヨークの事例を参考に浦安における海上交通の将来像について考えてみました。
まずは下記の路線図を見てください。
マンハッタン島と周辺のベッドタウンを結ぶフェリー航路であり、NY Waterway社が運航している。1986年に事業を開始。開業当初は一日数十人の利用者でしたが、今では通勤客の足となり、一日3万人超が利用しています。
- 航路数:23
- 船舶数:34
- ターミナル数:21
- ターミナルから主要地点へのバス路線も運行
- ラッシュ時は20分に1本、オフピーク時は30分に1本の運航
- ハドソン川にUS Airways航空機が不時着した際は、NY Waterwayの船舶が救助を行った
当社の安定経営の秘訣
今でも安定経営をしているこのウォーターラインですが、当社の成功の要因は以下の通りと考えられます。
- NY Waterwayが航路を開設したことにより、BrooklynやNew Jersey等の周辺地域のウォーターフロントの開発が一気に進み、「船で通勤」というスタイルが定着
- 通勤客の獲得は事業の安定性に重要
- シーレーンの設定により、周辺都市のウォーターフロントの活性化も一気に加速
- 週末には遠方に観光用の定期航路が設定され、こちらも人気となっている
- 通勤客は週末は動かないが、週末に観光航路を開設することで船舶の稼働率を上げ収益化に成功
- 渋滞のリスクはなく、定時到着率は99%超。NY全体が悪天候・天災や停電等で交通マヒを起こした日においても、定時運行/増便による輸送強化を行った
- ラッシュ時は20分に一本ある利便性と必ず定時に到着できるという安心感が地下鉄やバス、自家用車ではなくフェリーでの通勤を選好する理由となっている
- ターミナルの位置は重要。多くの人が向かう場所、立ち寄る場所の近くにターミナルを設置することが大切
- フェリー事業の成功要素(NY Waterway社長談)
- すでに地下鉄等の適切な公共輸送機関がある場所には設置しない。移動が便利になるからこそ人々はフェリーを利用する
- 需要があることが重要で通勤利用が見込める人口、そして/もしくは強い観光需要があることが絶対条件
- フェリーターミナルから利用者の最終的な目的地へのスムーズなバス等の接続交通の設定が重要
浦安におけるウォーターライン構想
浦安は航空関係者の居住が多く、その通勤需要は確実に太いものがあります。空港までのリムジンバスがこれだけ多頻度で出ていることからすると、船便の利用数も相当程度見込めると思われます。
かつ、空港からのディズニー需要(新浦安ホテル)も見込むことができ、空港側で荷物を預けるエクスプレスチェックインなどを行えば、利用者の安定性を期待できるかと思います。
交通は通常時間によって上りか下りのどちらかだけが混むのですが、浦安ー羽田のウォーターラインはディズニーの存在により上下ともに強い需要が見込める稀有な地域です。
世界を見ても発展の強いエリアでは船便は有効に活用されています。
浦安にはすでに境川河口に少し手を入れるだけで活用可能な港湾施設と、その周りにターミナルにしよう可能な土地があります。
こんなに恵まれた条件を使わない手はないと思うのです。
市民の声が強くなれば、行政は必ず動いてくれるはずです。少なくとも2011年の日経にも記事が出たように原案は検討されています。
真面目に考え、実現を目指している人達はいるのです。この記事も、実現にむけた当事者による1つのバルーンだったわけです。
出所:日本経済新聞 2011/4/23
後は有権者、私達市民が本気で望むかどうかに実現性はかかっているのではないかと思います。
浦安ファン.comでもこうしてささやかながら小さな声を出しているわけですが、市民の方々の大きな声があって政治ははじめて動きます。
市民の方々が正しいと思う政策については、あらゆる場所で積極的に声をあげて頂くことで、浦安はかつてないほどのスピードで進化して行くのではないでしょうか。