高洲地区の開発は、三菱地所レジデンスに売却先が決定されています。

不動産デベロッパー最大手の一社である三菱地所はどのように高洲を開発するのでしょうか。




まずは、日本建設新聞社による2017/2/25の報道をおさらいしてみます。

千葉県企業土地管理局は24日、浦安地区第二期(高洲地区)の8.2ha雑種地を対象とした一般競争入札による譲受人募集について明らかにした。

それによると同日に開札した結果、三菱地所レジデンス(本社・東京都千代田区)を落札者に決めた。

落札額は100億123万8000円で、同社はここを共同住宅や戸建住宅、教育・福祉施設用地として開発する。入札物件は浦安市高洲地先の実測面積約8万2383平方mで、

[1]1丁目7番1(実測面積約5548平方m)
[2]3丁目31番1(同約1万3709平方m)
[3]3丁目31番106(同約1万5626平方m)
[4]6丁目14番1(同4万7499平方m)

浦安市が今後のまちづくり方針として新たに策定した土地利用計画に基づき、1丁目については中高層共同住宅用地、3丁目と6丁目については戸建住宅、低層住宅、教育・福祉施設用地として募集。

入札参加資格確認を2月9日~10日に受け付けたところ、3者が応募。同21日~22日に応札した2者から、同社を落札者として決定した。

出所:日本建設新聞社 2017/2/25




今回の入札は千葉県や浦安に強い三井不動産との競合になっていたと思われます。

野村不動産も参加していたかもしれません。

しかし、その中で競り勝って、今回三菱地所が落札することとなりました。

三菱地所は戸建て住宅ももちろん手がけてはいますが、特にマンション開発に強みを持っています。

海が見える一等地であるこちらの高洲の地域は、低層住居専用地域であり、高さ制限は12メートル、容積率と建蔽率は100/50です。

そして道路に面した部分のみ商業施設を建築可能な準工業地域となっており、道路に面したショッピングモールを作っていただける可能性は消えてはいません。

三菱地所さんの開発力に期待をしたいところです。

 

三菱地所はどんな開発をするのか?

この広大な敷地を活かして、三菱地所は最高級の3〜4階建ての低層マンションを開発する模様です。

出所: 三菱地所HP

三菱地所は低層住居専用地域に素晴らしい低層マンションの販売実績を持っています。

現在クオン新浦安が販売されていますが、将来的にはこの高洲地区が三菱地所の低層マンションとなる場合、資産価値の面ではベンチマークとなるでしょう。

三菱地所が今後、高洲の当区画に高級低専マンションを建設すると発表した場合は、今後の販売合戦は激しいものになるでしょう。客の取り合いになることが予想されるため、敢えて時期はずらすかもしれません。

低層マンションは、低層しか建設できない場所に計画されます。例えば、10階建ての建物を建設できる場所に3階建てや4階建ての低層マンションを建設すると、土地の能力を十分に活用しない物件となり、土地の有効活用ができず、ディベロッパーからすればプロジェクト採算が悪化します。

その結果として、1戸あたりの分譲価格を高くせざるを得なくなり、購買層がハイエンド顧客に限定され販売が難しくなります。よって10階建てが建設できる場所では、10階建てを建設してなるべく分譲価格を抑えようとするのが常套手段です。

経済性から考えて、この高洲の海側の広大な土地に指定されている「第一種低層住居専用地域」には、間違いなく四階建ての低層マンションを建築することになるでしょう。

一低専と略されるこの用途地域は、建ぺい率、容積率の比率が小さく、建物の高さも最高で10mまたは12mまでと制限されます。敷地にゆとりを持たせ、背の低い建物しか建設できません。

第一種低層住居専用地域は、13の用途地域のなかで最も条件が厳しい分、静かで落ち着いた住環境が実現しやすいため、一戸建ての邸宅街に適した場所とされています。

この第一種低層住居専用地域で大きな土地が入手できないと、低層マンションは成立しません。

「これまでにない低層マンションをつくりたい」、「街とよべるくらい大規模なレジデンスを作りたい」、という思いで生み出されたのが三菱地所がこれまで手掛けてきた一低専における低層マンションです。

一低専での低専マンションは、広大な敷地の確保が必要なため、都心部では超高層マンションよりもはるかに希少性の高いマンションとなります。

高洲の海側の土地を見る限り、間違いなく三菱地所はここを低専マンションに仕立てることになるでしょう。

しかも浦安で最高級のマンションに仕立てる計画を今立てていらっしゃることだと思います。

浦安市としても低層マンション開発を認めています。(Dの部分)

出所:浦安市HP

Dは低専マンションにし、BとCの部分は低専マンション+戸建にすることになるでしょう。これもクオン新浦安と思い切りバッティングします。

さらに、船着き場周辺の準工業地域に商業施設の整備と、羽田までの船便が実現できれば、ここは超一等地のレジデンスになりますね。

参考記事:高洲土地の活用と浦安船便が浦安に必要だと考える理由

参考記事:NYの船活用から浦安=羽田船便構想の意義を考える

この浦安船便構想は、今真剣に考える必要があります。千葉市はすでに港湾のインフラを千葉みなとに整え、船運航の実証実験も行い、後は実現に向けたタイミングを見計らっているところです。

浦安がぼーっとしていると、今後は全て千葉市にアップサイドを持っていかれてしまいます。(近隣自治体同士で切磋琢磨することは素晴らしいことだと思いますが)

元々は高洲のこの場所は商業施設を誘致できる場所だったわけですが、平成19年に見直された経緯があります。

出所:浦安市HP

三菱地所による高洲の高級低層マンション計画は、新浦安の不動産マーケットにかなり大きな影響を与えるはずです。

一般的には新築マンションが出てくれば、中古マンションはそれ以下の値段でしか売れません。従って、中古マンションは大きな値下がりのリスクがありえます。

一方で、このマンションが最高級品質で全て億ションとして売られる場合は、中古マンションのプライシングのキャップが上にあがり、アップサイドが見込める可能性もあります。

浦安市民としては、三菱地所さんに素晴らしいマンションと隣接する商業エリアを開発頂き、適切な値段で全戸完売頂くことを願うばかりです。

三菱地所さんの今後の発表に注目です。