(注:以下は過去時点における記事です。当物件は、スターツが購入したことが判明しています。詳しくは
検証!スターツはイトーヨーカドー新浦安跡地をどのように開発するのか?
をご参照ください。)
買主の正式名称は開示されていませんが、イトーヨーカドー新浦安の跡地について、以下の情報が売主の決算報告書に開示されました。
「東証一部上場会社傘下のディベロッパー」とのことです。
(売主適時開示資料より)
リートにも出資しているということなので、だいぶ絞られてきたかもしれませんね。近くで開発を進めている会社でしょうかね。
この中で「マンション開発業者」に決まったわけですね。
そもそもこの土地はURは商業を必ず入れることを条件にしての払い下げでしたので、そちらは守られたことになります。
決算発表会では、以下のように述べられています。
・新浦安は住宅としての伸びしろはまだまだある
・しかしGSMという形態が時代遅れになり、今の建物は広すぎることと、作りも時代遅れのためそのままは使えない
・一度壊して作り直す。商業も入るマンションに転換する
ということでした。
1階の路面部分等の低層階は商業施設で、上層部はマンションになることになるようですね。一度破壊して再建築することになるので、完成までには少なくとも3年はかかるでしょう。また住居が増えてしまうのは微妙な気もします。
噂されていた居抜きドンキホーテではなさそうです。
今に比べると小さな商業施設となりますが、商業施設は維持されることになりそうです。
併せて大規模マンションが新たに建設される可能性が高くなりました。クオンの販売や三菱地所の高洲マンションにも影響を与えそうですね。
連携を図る形で近隣業者が手を挙げているかもしれません。アイルズのコースト用地の入札時もS社は高めで入札してきました。
当区域は、浦安市により用途地域は「商業地域」と定められています。
商業地域とは
12種類ある用途地域の中で、最も使い勝手が良いのがこの商業地域です。大規模な工場以外はなんでも建てられます。住宅から商業施設、映画館、小規模工場などが建設可能で、建ぺい率も80%が基準ですから、超高層住宅も建設可能です。
商業地域は、大型店舗、飲食店、事務所などの商業ビル・オフィスビルに加えて、マンションなどが混在する街並みになります。
商業地域は、ターミナル駅周辺や大都市の都心部に指定されることが多く、オフィス街を形成することが多く、住居専用地域ではないため、日当たりなど各種制限の内容が緩く、建ぺい率と容積率も大きいため、ビルやマンションが密集したエリアを形成することが多い地域です。イトーヨーカドー跡地は建ぺい率80%、容積率は200%まで可能です。
そのため、将来その土地に高い建物が立つ可能性が高い場所となります。
上記のことから、各種様々な用途の建物を建てることができるため、物件として売れやすく、建ぺい率・容積率が大きいため、タワーマンションは商業地域内で建てられることが多いといえます。
ただし、商業地域のため、150㎡を超える本格的な工場を建てることはできません。
今回のイトーヨーカドー跡地はマンション+商業施設、ということですが、上記のような自由度の高い用途地域のため、期待もできるかもしれませんし、望まないものになるリスクもあります。
商業施設とはスーパーもそうですが、ホテルや映画館、パチンコ店、夜のお店も商業地域だからこそ回転できてしまいます。
正式な買い手の発表があるまでは、安心できなさそうです。
複合マンションとは
最近では高層ビルを建設して、下は商業にしてそれより上をタワーマンションにしているような事例も散見されます。
例えば大阪の例では、居住を中心に物販・医療・スポーツ施設など生活利便施設を併設した複合ビルとなっており、低層部は街の賑わいと活性化に寄与するよう商業等の施設を配置し、高さ50mレベルに集合住宅のメインエントランスを設けたものです。
都心部の敷地を有効活用し、縦型の複合都市となる「コンパクトシティー」をめざした物件で、高さ209.35mの超高層住宅となります。(浦安では航空法の観点から20階が限界)
このような複合商業施設に建て替わる予定ですが、とにかくなんでもありの「商業地域」のため、引き続き情報公開をウォッチする必要があります。
おそらく20階建ての高層マンションで、一階にスーパーというようなマンションになるのではないでしょうか。
結局誰に売ったのか?再開発は誰が?
今ヒントになるのはまず売却先は複合マンションの開発実績がある、という事です。
そしてもう一つが森トラストリートに出資をしている、という事実です。
全株主のリストは日本の金商法では開示対象ではないため、管理している信託銀行しか分かりません。
一方で、リートに出資していることから、この「一部上場企業」は大手の不動産ディベロッパーではないと推察しています。
普通は大手の不動産ディベロッパーが、競合のリートに、自社の金を突っ込むなんてことはしません。
そうなると、浦安においてプレゼンスのある三井不動産、野村不動産、三菱地所ではありますが、彼らの可能性は低いものと思われます。
またイトーヨーカドー(7&i)やイオンは、マンション開発の実績はない為、可能性は低いのではないでしょうか。
そうなると一部上場企業の傘下で、複合マンションの開発の実績がある企業はどこなのか?という疑問がでてきます。
その観点で考えると商社系のディベロッパー、中小の不動産ファンド、売主と仲のよいディベロッパーの可能性が浮上してきます。
売主と仲が良く、浦安にコミットしているディベロッパーと言えば、いくつか思い当たります。
そのうちの1つは、愛知県の1,400億円近い道路民営化案件で今回の売主と一緒に参加し、新浦安でマリナガーデン新浦安を開発する「大和ハウス」さんです。
大和ハウスさんの浦安へのコミットは凄いものがあり、今回の相場を上回る値段での購入もあり得るかも知れません。
イトーヨーカドーの進展を踏まえてマリナガーデン新浦安の設計をすれば地域内の自社アセットの最大活用にもつながります。
近くにマリナガーデン新浦安があり連携したシナジーが見込めるからこそ、他のビッダーより高い金額を提示できたのかも知れません。
そう考えると大和ハウスさんの可能性は低くはないように思います。
大和ハウスさんは元々は軽量鉄骨で早期の建築を得意としていました。マリナガーデン新浦安やラジェントホテルはその代表例とも言えます。
しかし、ゴールドマンサックスからフジタを買ってからは高層建築にも積極参画をしています。
函館では、まさに4階までが商業施設でその上に高層マンションを大和ハウスが建築し、完売しています。
大和ハウスさんは5/19発表の経営計画でも賃貸マンションと商業施設拡大について言及し、7000億円を投資するようです。
現在はまだ真実は分かりませんが、新たな情報を捜索して、引き続き推察を続けたいと思います。