日本には2つの大きな眠れるアセットが有ると考えています。

1つは経済の中を還流せずに蓄えられた1400兆円もの日本人所有の資本です。

そしてもう1つの眠れるアセットが、都市部に人口が集中する中で引き取り手のないまま地方で眠る多数の古民家です。

 

古民家といってもいろいろとありますが、一言で言えば「ボロボロの家」です。

最近では相続前の売却や、相続もされずに宙に浮いてしまった物件が日本の彼方此方にあり、1つの社会問題にもなりつつあります。

その古民家について、大学時代からの友人で、経験豊富な不動産投資家とともに、地方経済活性化のための取り組みを行うことにしました。

地方の古民家を取得し、再生させ、利用者を探すという古民家再生プログラムを自分達の手でやってみることにしました。

浦安市内でも今後古民家問題は出てくる可能性があります。取り壊して再開発、ではなく、古民家として再生し、古き良き日本を浦安に残すという選択肢があっても良いのかもしれません。

最初の物件内覧

東京から電車で約2時間のところに、その物件はあります。

場所としてはインバウンドからの人気も高い観光地の近くにあり、ポテンシャルはあるはずの場所です。

物件に着くと当然のことではありますが雑草が伸び、ここに住みたい!とはお世辞にも言えない状態でした。

 

しかし、さらに驚きの出来事はドアを開けた瞬間に発生しました。

曇り空で雨は降っていないにもかかわらず、天井から、すごい勢いで水が流れ落ちており、床の上は水浸しとなっていました。

2人で唖然としつつも、すぐに対応しなければならない為、受け皿となるバケツを調達して床におき、その後水道会社にきて頂き、まずは水を元から止め、屋根を切り取り天井裏を見てもらうことにしました。

のっけからすごいインパクトのある出来事でしたが、地方物件投資に強い彼は動じることもなく淡々と対応をしていきます。

調べてもらうと、長い間使われていない水道管が冬季の寒さで凍り、破裂してしまっていたようです。

まず最初の古民家再生作業は水道管の交換から、となりました。

いろいろと寸法を測ったりしようと考えて現地入りをしましたが、この日は床を拭いたり、応急対応をしたりということで終わりました。

 

再生に向けたアクションプランの洗い出し

東京に戻り、彼と2人で後日、この古民家再生に向けたアクションプランについて議論することにしました。

地域内の競合の様子やニーズの把握、マーケット分析を行った上で、最終的には家具付きでの賃貸とすることにしました。

家具付きと決まったので、天井の修理後に一気に納品すべく、必要アイテムの洗い出しを行い、また事業として成立しうるのかどうかな検証のため、財務シミュレーションも行いました。

財務シミュレーションから逆算して、利益を残すことが可能な投資額を算定し、購入するアイテムを洗い出しを行いました。

同時並行で必要な保険や、その他契約や法人設営などについても全て2人で自らの足で詳細を詰め、手続きを進めていきました。

とにかく2人でやり切り、古民家再生のノウハウを身につけることが今回の一番の目的だからです。

 

物件での再生作業

全てのアイテムをオンラインで注文しておき、全て同じ日に届くように手配した上で現地入りをしました。

畳と襖は張り替えた上で、泊まり込みでのセットアップ作業です。

部屋を大掃除した上で、次々と届くアイテムを打ち合わせ通りの場所にはめ込んでいきます。そして足りないものはピストンで近くのホームセンターから仕入れることにしました。

夜おそくまで2日間、男2人で作業をした結果、先ほどの水浸しの部屋は、以下のようになりました。

最初訪れた時には、自分はここに住むのは勘弁!と心の中で思っていましたが、2人でクタクタになりながらも再生させていき、このように仕上がると、しばらくここに泊まって見たいとも思うようにもなりました。

綺麗になったからでもありますし、愛着が生まれたからでもあるでしょう。

古民家はとにかく最初は凄い状態ですが、愛着を持って手を加えて行けば、その資産は有効に活用できるようになることを学びました。

日本中に眠るこれらの資産を活用することで、地方を中心に日本はもっと元気になるでしょう。

浦安市は土地だけでも不動産価値が高い為にあまり喫緊の問題にはならないかもしれませんが、すぐに立て直してしまうのではなく、「古民家として美しく残す」という選択肢は検討すべきだと身をもって感じることができるようになった良い経験となりました。