2017/6/19に浦安市が、浦安市公共施設等総合管理計画というものを発表しました。
簡単に言えば市の保有する学校や道路、下水などの公共施設をどのように管理していくかの方針をまとめた資料です。
まず第一にこれを読んで感じたのは、「魂が抜けている」という印象です。
どこかのコンサルに外注して作ったのかも知れませんが、綺麗な資料に纏めてありますが、本気で浦安を想い考えて作ったものだとは感じられませんでした。
おそらくこの資料は内田さんの改革のご意思は入っていないものだと思います。実際、表紙には3月と書かれていますから、前政権時代の資料かと思います。
色々と50ページに亘り書いてありますが、総論としては、何十年も前に作った施設を研修を受けた職員さんがしっかりチェックして、随時更新して行きましょうというものでした。
今回ここで問題提起をしたいのは、とにかく税金を投入して古い施設を直すことだけがファシリティマネジメントではない、ということです。
ファシリティマネジメントの分野において、公共施設の在り方は最も盛んな議論が行われています。
新しいファシリティマネジメント(FM)という考え方
従来の市政による市民サービスは、必要な市民サービスの機能一つに対し、縦割りで一つの部署が、一つのソリューションを個別に提供していました。
例えば、地域の交流の場のために公民館を設置、図書館機能の提供のために図書館を設置する、といった具合に、全ての市民サービスに対して、箱物での提供を盲目的に正解としてきました。
しかし、新しいFMの考え方は、箱物をより適切に管理してコストを下げるという以前に、そもそもそのような箱物が必要なのかどうか、ということから議論が始まります。
例えば図書館について考えてみます。
図書館が提供する機能は、
①本の貸し出し
②憩いの場
③純然たる教育施設の象徴
があります。
これを全て満たすことができれば、もしくは他のファシリティでカバーすることができれば図書館という箱物は無くても市民サービスは悪化しないことになります。
新しいFMの在り方の議論としては、以下のような議論が活発化しています。
①については、そもそも民間のレンタルビデオは宅配便でのやり取りに大きく梶が切られ、むしろ実店舗の方が在庫が少なく、貸し借りに物理的に行くことから利便性も低いという評価になっています。
研究調査によると、実際に図書館を持って本を貸し借りする場合の貸し借りコストを100とすると、宅配図書館にするとそのコストは40にまで劇的に下がるそうです。こう考えるとリアルな図書館を提供し続ける必要はそもそもないのかもしれません。図書館の民間への運営委託がありましたが、これは現在の延長線には変わりません。
②、③については、公民館の機能を強化し、図書館に変わる場所を提供すれば良い話です。①で浮いたコストをあてることもできます。
個人的には図書館が好きなので、感情的にはそのまま残して欲しいと思う気持ちもありますが、色々な角度から公共施設のあり方は考えられるべきです。
図書館があるからそれを新しくするんだ、という発想は全体を見ていない些か古い発想であるということです。
浦安が考えるべきこと
浦安は財源が豊かなので、あまり危機感を持ってこれらの議論は馴染みませんが、本来は行政であっても一定の資本効率は考慮する必要があります。
そして今後は高齢化は日本全体と同じく浦安も避けて通れません。むしろ同世代が多い町なので一気にそのリスクは高まることも想定しなければなりません。
その時に、この新しいFM思考は実は結構よいヒントを与えてくれます。
これからの浦安の舵取りには、現状の豊かな財源に甘んじることなく、きたるべく少子高齢化の流れも見据えて、一流の経営のノウハウや手法をもっと取り入れて行く必要があると思います。
税金を投入せずとも新しい公共施設を展開できる方法も日本中で浸透してきました。
浦安市ではなんちゃってPFI事例はありますが、本当の効果を持った官民連携や民間委託事例はありません。
特に今はまだまったくポテンシャルを発揮できていない総合公園の管理運営は、千葉みなとなどの事例を研究し尽くした上で、日本一の満足度のある公園に進化させていただきたいところです。
内田市長にはこれまでの政権ではできなかった(やらなかった)新しい取り組みを、ぜひ実行して頂きたいと思います。
浦安が大好きな浦安ファンとしては、今回発表された公共施設管理計画が、内田市長によって大幅に見直されて公表される日を待ち望んでいます。