新聞でも「アマゾン・イフェクト」という言葉が連日のように記載されて、アマゾンが参入を表明したインダストリーの株価はガタガタに落ちるという今日この頃です。

そしてついに巨人である米国トイザラスが破産に追い込まれました。

今回はこの米トイザラスの破産が新浦安トイザらスにどのような影響を及ぼすのかを考察してみます。

(なお、本稿は単なる推測記事なので、間違っていたらごめんなさい。)

 

まず、米トイザラスの倒産までの流れですが、昨年秋にチャプター11を申請しました。

チャプター11=倒産=即会社がなくなると思われがちですが、日本の会社更生法と同じく、法の趣旨は会社を再生させるためのものです。

アメリカの大手航空会社は全てチャプター11を2000年代に申請し、債務を整理することでピカピカになりました。JALもまさにその事例です。

米トイザラスもまずは債務整理をして、事業を再建させることを狙っていたのでしょう。

しかし今週、トイザラスは清算されるという報道が流れました。清算とは残ったお金や財産でまずは債権者に支払い、残った財産を株主で分けるというものですが、株主に残るどころか、債務すらまともに払われないでしょう。

破産管財人が会社にやってきて、財産を全てフリーズさせ、公正な分配を考えることになります。

更生を諦め、清算になったということが何を意味しているのか?

チャプター11に入っても、うまく法を使って会社を再生させるケースはすくなくありません。むしろチャプター11は再生させるための法とも言えます。

そして、再生の背景には債権者との交渉があります。法定の債権者数の賛同を満たせば、更生計画が認可され、それに則った債務免除、弁済がおこなわれ、会社は再生されます。

債権者の立場からすれば、対象会社を更生させて、その事業からキャッシュフローを生んで貰った方が、たくさんお金が返ってくるから同意する、というメカニズムです。

今回の米トイザラスは、どうやっても事業はうまくいかないから、清算して少しでも金を回収したい、という結論になったということです。

トイザラスのビジネスはそれほどまでにヤバかった、ということです。

日本トイザらスどうなるのか?

日本トイザらスはかつては上場していました。しかしまた米トイザラスグループにTOBされ、今はアジアのホールディング会社を通じて、米トイザラスの子会社になっていたと思います。

そうなると、米トイザラスが所有する日本トイザらスの株式は、清算によって分配される残余財産の一部ということになります。

債権者からすると、日本トイザらスの株の一部をもらっても仕方ないですから、そんなもんいらん、金で返せ、と言ってくるでしょう。

そうなると破産管財人のもとで、日本トイザらス株など、保有資産の売却が行われるのではないでしょうか。

では日本トイザらスの株を買うのはいったい誰なのか、ということが次の論点です。

日本トイザらスに誰が関心を持つか?

帝国データによる日本トイザらスの売り上げはだいたい1400億円くらいのようです。しかし、売上は減少傾向で、利益率も高くはない現状です。

バリュエーションはいくらくらいになるのかは全くの想定ですが、500〜800億円くらいになるのではないかと思います。

これを買収できる企業となると時価総額が最低でも2,000億円程度はあり、日本トイザらス事業を買収する事で、既存の自社事業とのシナジーが生まれる企業となるでしょう。日本であればバンダイナムコやタカラトミー、任天堂やソニーなどの玩具関連会社、もしくは楽天などのEC系が買収するのかもしれません。アジア全体事業をまるっと買うのであればPEファンドなどが買うかもしれません。

いずれにしても株主が変わり、経営方針が大きく変わることになります。

トイザらス新浦安店はどうなるのか?

通常買収後のポストM&Aで最初に行われることは、事業の見直しです。徹底して無駄を排除したり、買収者との重なりを解消したりします。

アマゾン等のネットビジネスが脅威なわけですから、不採算な実店舗はどんどん閉鎖してネット事業の拡大に気合いを入れるのではないでしょうか。

ウォルマートもアマゾンの脅威の中で自社でEC事業や立ち上げ、買収し、競争力を保っています。

そう考えると、新浦安店の存続も最終的には売上、利益が十分か否かなにかかっているものと思われます。

新浦安店の土地は定期借地権のはずですから、期日が来たらお互いに賃貸契約は白紙になり、継続を相互に望まない限りは更地に戻すことになります。

一般論から考えると、少子高齢化が進む中で子供用の玩具類の売上が伸びるとは考えにくく、浦安もまだ若い街であるとはいえ、南は海であり、お台場、市川、船橋にトイザらス店舗があることから考えると人の流れがブロックされてしまい、収益性は住民がどれほどトイザらスを利用しているかにかかっていると考えられます。

周りを見渡して考えてみると、トイザらス新浦安店の事業継続にはいささか不安が残ります。

地主はURだったと思いますので、イトーヨーカドーのようにいきなり売却されて商業以外のものに変わるリスクは高くはないと思います。

しかし、定期借地契約の終了と共にトイザらス新浦安は閉店され、別の事業者に変わるか、もしくは最悪の場合は、事業者が見つからずに更地のままになってしまうリスクは念頭に置いておく必要があるかもしれません。

浦安市の「中長期成長戦略」を真面目に誰かが考えてアクションプランの設計をしていかないと、少し歯車が狂ってしまった時には、浦安地域経済の沈没リスクを抱えてしまうかもしれません。