物事の評価や戦略を考える際には、必ず行うこと。それはベンチマーキングです。9月議会で浦安市にはオリンピックに向けた戦略を考える部署を新設したと内田市長から説明がありましたが、浦安市は果たしてどのようなベンチマーキングを行っているのでしょうか?

 

例えば株式の評価であれば、ゴールドマンサックスではCommon Stock Comparison(CSC)と名付け、類似の企業と横並びでPERやEV/EBITDA倍率などを比較し、適切なバリュエーションの水準を検討します。株価のついていないIPOのプライシングでも、まさにこの考え方で値付けを行って行きますし、割安な株を見つける時にも同じ手法を使います。

そして要となることは、正しいコンプス(比較対象)を選ぶことです。関係のないものを選ぶと、それはずれた評価になってしまうからです。

では、浦安市はどのような都市をコンプスとして、今後の都市戦略を考えるべきなのでしょうか?

浦安市にとっての比較対象事例

川や海の水辺は、地域の観光にとって大きな強みになります。

海外では川があることによる美しい景観を武器に、商業施設や公園整備に活用されている都市がたくさんあります。

その代表格はシンガポールでしょう。

シンガポールでは水際線には情緒あふれるカフェやレストランが展開され、観光客や地域住民の交流の場となっています。



この写真はシンガポールにある川沿いの素敵なレストランです。実に美しい水辺の眺めを見ながらの食事を楽しむことができます。

日本では、すぐ隣の千葉市に素晴らしい水際に海を活用した憩いの場があります。

千葉市は間違いなく浦安市にとってのベンチマーキング対象でしょう。

浦安市側が比較するのは嫌だと言っても、誰もが千葉市と浦安市を比較し、評価するわけです。

とりわけオリンピックというコンテクストでは、完全なる比較対象ですし、こんなに豊かな財政の浦安市が、その取り組みの深さや効果という観点では、これまでの浦安市は千葉市に完敗していると評価されても仕方がない状態です。

参考記事: 浦安も負けられない!千葉市の官民連携での公園活性化に学ぶ

ベンチマーキングをせずに、そして競合との比較の議論がない戦略や方針は、「独りよがり」「自己満足」となってしまいます。

浦安市はシンガポールや、少なくともお隣の千葉市を徹底してベンチマーキングすべきです。

千葉市をベンチマーキングせずに、どんどん都市の魅力度向上施策に差が開いていくと、人々は浦安市ではなく千葉市に住みたい!と考える人が増え、千葉市の不動産価格は向上し、千葉市の人口と税収は増えていきます。それに対して浦安は自宅等の資産価値はどんどん下がり、人口と税収も減り、衰退する都市になっていってしまいます。このようなことは、絶対に阻止しなければなりません。

浦安市は千葉市を徹底してベンチマーキングし、全ての項目でより魅力のある都市であり続けるための施策を打ち続けるべきではないでしょうか。

そう考えれば、三番瀬の環境施設もどのような施設にすべきかは、自ずと答えは出てくるように思います。マリナガーデンや周辺ホテルとも連携し、当施設の需要を自ら作り出すことで、世界からの観光客にとって魅力ある商業施設とすべきです。

 

浦安が目指すべき姿

川や海は欲しくてもそこになければ、得ることはできません。それはかけがえのないアセットです。

浦安にはそんな川や海がどの街よりも豊富にあります。これは浦安の強みとして強く認識すべき点でしょう。

しかし、その現在の活用方法に一歩目を向けると現状は残念な現状です。元町地区の川沿いの活用についても、古き良き街並みではあるものの、これでは外から人を誘引するような潜在力には繋がらりません。

防災貯水としてのファンクションや一時的なイベント利用はあるものの、恒常的な観光活性への利用は出来ているとは言い難い状態です。むき出しのコンクリートのままで、特に周辺には集客施設はありません。

地方自治法はすでに改正され、指定管理者制度の活用により民間のノウハウを使って公園の管理や機能の維持向上が可能となりました。

例えば富山ではこの制度の活用のもと、「世界一美しいスタバ」が設置されています。

「世界一美しいスタバ」と呼ばれるのは、富山市にある『スターバックス富山環水公園店』です。

運河を生かした公園内にある店舗で、ガラスの向こうに広がる景色がとても美しく、夜は公園がライトアップされるので、その夜景も美しいことで多くの観光客が来訪しています。

住民は美しい景色を眺めながらモーニングコーヒーをしたり、お友達と午後のひと時を楽しめ、付加価値が遥かに上がった公園を楽しむことができます。

千葉市にも以下のような素晴らしい水際のレストランがあります。

スターバックスである必要性はありませんが、このような優れた民間の事業者のノウハウと資本を活用し、浦安市は世界屈指のアーバンリゾートシティになることを積極的に追求すべきではないでしょうか。

自治体が自らの税金と知恵だけで物事を進める時代はもう終わりました。これからは知恵も資本も官民連携の時代です。

高松空港は三菱地所に運営されることになり、関空はオリックスに運営されています。民間の知恵と資本が入ることで、地域活性化効果は何倍にも高まります。

こんなにもポテンシャルの高い浦安にも関わらず、この活用のされなさと単なるベッドタウン化は、本当に勿体無いと感じます。

総合公園も、この広場を市民の為、未来の浦安への来訪者のおもてなしの為にもっと活用出来ないものでしょうか。

浦安はもっともっと素敵で素晴らしい街になれるのに、そう思いながら総合公園を眺めています。

まずは浦安市の意思ですぐにできる公園や水辺の観光活用を、民間の知恵と資本を活用しながら進めていくべきではないでしょうか。

ベンチマーキングの筆頭対象であるであるお隣の千葉市がやってること、努力していることは、少なくとも浦安でもすぐにでも取り掛かるべきではないでしょうか。

ディズニーを誘致し、京葉線誘致に尽力をした熊川元市長を名誉市民にしようと内田市長は2017年9月議会で発案されました。

ディズニーの誘致による浦安市活性化を評価されるのであれば、ぜひ現代においても三番瀬施設を世界に誇れる集客施設とすることを皮切りに、浦安の観光活性化に取り組んで頂き、熊川元市長を超えるご実績を残して頂けたらと思います。