京葉線の機能強化については、これまで選挙時の多くの候補者のマニフェスト等で「りんかい線との直通」だけが目立っていた印象があります。
しかし、これからの京葉線に本当必要な機能強化は、果たして「りんかい線との直通」なのでしょうか?
Executive Summary
- 1 りんかい線=京葉線直通で発生するデメリット
- 2 いま議論すべきはりんかい線直通より複々線化ではないか?
- 2.1 ・潮見:オリンピック会場新設
- 2.2 ・新木場:オリンピック会場
- 2.3 ・葛西臨海公園:ラフティング場整備 東京アロハプロジェクト 大規模マンション建設
- 2.4 ・舞浜:東京ディズニー大規模拡張
- 2.5 ・新浦安:ニューコースト新浦安、クオン新浦安、アイルズ、三菱地所大規模低層マンション、ラグビー場、ホテル2000室超の新設
- 2.6 ・市川塩浜: 80,0000平米の土地に市川塩浜リゾートタウンの建設
- 2.7 ・南船橋: 駅前開発および競輪場跡地再開発
- 2.8 ・幕張新駅建設
- 2.9 ・海浜幕張: オリンピック会場、5000室近いタワーマンション建設 公園のPFIによる商業施設建設、レッドブルエアレース
- 2.10 ・検見川浜:大規模マンション建設やビーチリゾートのリューアル
- 2.11 ・千葉みなと:国指定の「みなとオアシス」に認定、モノレール延伸の可能性
- 3 行政としての複々線化へのスタンス
- 4 コスト的に複々線ができない場合の解決策案
りんかい線=京葉線直通で発生するデメリット
たしかにお台場方面に乗り換えなしでそのまま行けることは、便利なようにも感じます。新木場の乗り換えは非常に便利なので、乗り換えの約3分間が節約できます。
しかし、たったこれだけの時間節約の為に、京葉線ユーザーが大きく失うものがあります。
① 新木場からりんかい線で座れなくなる
サラリーマンの肉体疲労の30%近くが通勤によるものとも言われています。
テレワーク導入が進むのも、通勤ならぬ「痛勤」をなくすためというのが大きな理由の1つです。
りんかい線に直通すると、これまで新木場からは座れていたものが全く座れなくなります。上野東京ラインの開通でも同じ問題が起きました。
上野東京ラインはグリーン車があるので、お金を払えば座席の問題は大部分は解決できますが、京葉線はそうもいきません。
② 東京行きの本数が減る
二車線の道路が1車線になると渋滞するように、りんかい線側と東京駅側から電車が合流してくることになるので、線路のキャパシティをオーバーしてしまいます。
すでに京葉線は快速と特急の運行もあるため、線路容量はいっぱいのため、りんかい線との直通を行うとなるともはや間引きしか方法はなく、東京駅発の電車が間引きされることになります。
これは東京駅方面の京葉線ユーザーからすれば死活問題です。
以上を踏まえると、単に京葉線=りんかい線直通を主張することは、市民から後で「こんなはずじゃなかった・・」と徒労の声をもらうことにも繋がりかねません。
いま議論すべきはりんかい線直通より複々線化ではないか?
さらに、京葉線沿線ではいま大型の開発がいくつも同時多発で勧められています。以下が目玉となりそうなものを列記したものですが、これだけでも凄まじい開発が見込まれていることが分かります。
・潮見:オリンピック会場新設
・新木場:オリンピック会場
・葛西臨海公園:ラフティング場整備
東京アロハプロジェクト 大規模マンション建設
・舞浜:東京ディズニー大規模拡張
・新浦安:ニューコースト新浦安、クオン新浦安、アイルズ、三菱地所大規模低層マンション、ラグビー場、ホテル2000室超の新設

・市川塩浜: 80,0000平米の土地に市川塩浜リゾートタウンの建設 
・南船橋: 駅前開発および競輪場跡地再開発

・幕張新駅建設 
・海浜幕張: オリンピック会場、5000室近いタワーマンション建設
公園のPFIによる商業施設建設、レッドブルエアレース
・検見川浜:大規模マンション建設やビーチリゾートのリューアル
・千葉みなと:国指定の「みなとオアシス」に認定、モノレール延伸の可能性 
こうしてみるだけでも京葉線の需要がとんでもないことになりそうですよね。
そう考えますと、単に京葉線=りんかい線の直通を行うことはあまり意味が無さそうであることが見えてきます。
そもそもの京葉線の大幅な需要増に耐えられるようにする為に、より大胆な施策の検討が必要であると考えます。
それがまさに京葉線の「複々線化」です。
複々線化すべき区間は、大規模開発中であり、武蔵野線が合流してくる市川塩浜〜新木場の区間です。
そして幸運なことに浦安市内ではこの複々線化のための用地がほぼ確保してあるのです。
行政としての複々線化へのスタンス
2018年3月の浦安市議会で、西山議員より、まさにこの複々線化の議論が提示されました。それに対して、浦安市の京葉線複々線化についての浦安市の考えと現状は以下の通りでした。
浦安市としても複々線化は必要と考えている
浦安市内ではほとんどの京葉線複々線化用地は浦安市または千葉県で確保済み。ただし、一部はオリエンタルランドと順天堂大学に千葉県の土地が売却された
オリエンタルランドさんと順天堂さんでしたら、浦安市と共に歩まれた企業です。間違いなく複々線化の際には強力してくださることでしょう。
その証拠に、購入された土地は建物ではなく平置き駐車場として利用頂いています。
2018年6月千葉県議会でも、浦安市選出の矢崎県議からの複々線化要望について、以下のように答弁がなされています。
京葉線の朝のラッシュ時の線路容量はほぼ限界に達しており、りんかい線との相互直通運転を実施した場合、現在の施設では東京行きの列車を減便せざるを得ず、これ以上増便するためには複々線化等の輸送力増強が必要とされています。複々線化には多額の整備費用が必要であり、収支採算性などの課題もありますが、相互直通運転は非常に高い便益効果が期待できることから、県といたしましては、国やJR東日本に対し、複々線化等の輸送力増強に取り組んでいただくよう要望しているところでございます。今後も沿線市等と協力し、相互直通運転の実現に向けて、さまざまな機会において、国やJR東日本に対し働きかけてまいります。
千葉県、浦安市共に積極姿勢であることが確認できます。
特に市川塩浜に巨大なリゾートタウンができる時とディズニー拡張の完成時期が重なる可能性があり、複々線化は喫緊の課題としてJR内でも検討されていることと思います。
コスト的に複々線ができない場合の解決策案
鉄道需要が増えることに対応するにはキャパシティを増やすしかありません。
その為には本数を増やすことが求められます。本数を増やすには、快速と特急の廃止が不可欠です。しかし、蘇我方面からくる方々にはこれは死活問題です。特に座りたい方々の特急需要も根強いです。
そこで参考になるのは中央線へのグリーン車導入です。
グリーン車を導入することで、特急と同じく、座れる確率が大きく上がります。
複々線化ほどではないですがコストはかかりますが、できれば少し駅を延伸して、二両分の増連結できれば、一編成あたりのキャパも大幅に増やせます。
京葉線にも二階建てグリーン車が走る日を見てみたいものです。