イトーヨーカドー食品館新浦安店が2018/4/8に閉店しました。

その既存建物を活用し内装リニューアルし、「スターツショッピングセンター」として2018年の秋に再オープンすることが物件オーナーであるスターツさんによって決定されました。

浦安市と内田市長からの働きかけの賜物かもしれません。市民としては大変ありがたいことです。何より当初のマンション化プランを大きく変更し、浦安の為に意思決定をして頂いたスターツさんにも感謝の気持ちでいっぱいです。

新たにリニューアルされたショッピングセンターの完成予定図をみると、なかなかおしゃれな図面が発表されており、大変期待が高まってきますね。

スターツさん初の本格的な専業ショッピングセンターとなるので、気合いの入り方も違うのではないかと思います。

近くにクオン新浦安や新たな90戸の戸建ても販売予定ですので、そのマーケティングにも活用されるのだと思います。相乗効果は高そうです。

今回はスターツショッピングセンターのテナント計画について徹底研究していきたいと思います。

まずは物件基本情報

まずは物件の基本情報です。

元イトーヨーカドー新浦安店があったところで、イトーヨーカドーが不動産を流動化し、その後定借を解約したことにより、スターツさんが2017年に取得した物件となります。

所在地   千葉県浦安市明海4-1-1
交 通   JR京葉線「新浦安」駅 徒歩17分
土地面積  33,538.15㎡(10,145.31坪)
建物面積  57,621.38㎡(17,430.45坪)
構 造   鉄骨造陸屋根5階建て
築年数   平成12年9月新築(築17年)

イトーヨーカドー時代の苦戦からのレッスン

まず言わずもがなですが、ユニクロなどの多くの衣料専門店がある中でイトーヨーカドーが元祖ビジネスの衣料にこだわってしまった全社戦略の失敗があったことは大前提です。

そしてイトーヨーカドーは、全館を閉鎖してスーパーだけの食品館に変更してからは、既存店売上高はさらに減少傾向となりました。

フードコートや雑貨売り場、レストランがなくなったことの影響が大きいことが分かります。やはり、集客力あってのスーパーの売上でもあったのでしょう。

スターツさんの開発当初案では、建物の下部に、路面のスーパーが検討されていたようですが、スーパー単独での商売では、近隣の自動車を持たない方の需要しか囲えないため、実際には厳しいかったことが分かります。

特に新浦安にはオーケーやイオンという競合がいて、価格競争力もあるため、そちらに激しく顧客流出しました。

イトーヨーカドーの一連の出来事は、新浦安開発の都市戦略の検討における一つの示唆を与えているように感じます。

 

計画立案時にベンチマークされるであろう近隣商業施設

スターツさんも創業江戸川ということで、アリオ葛西の成功事例はかなりベンチマークされるのではないかと思います。

アリオ葛西では不採算のヨーカドー衣料部門を削減し、フードコート拡充に舵を切りました。

しかし、これにより集客力は急増し、連日多くの人で賑わっています。

イオンスタイル

新浦安のイオンも、イオンスタイルにリニューアルしてから、売上が伸びて降り、イオンの業績も上方修正されるとプレスリリースが出ています。

イオンに関しては業績の上方修正に加えて、さらなる利益積み上げがあったというプレスリリースが出されました。

今全店でイオンスタイル化への店舗リニューアルを進めていますが、これが大当たりをしたといういうことでしょう。

こういった先行の成功事例を参考にフロア設計をされていくものと思われます。地域の人たちが集まることのできるフードコートや飲食店の誘致+スーパーを軸として、新浦安のファミリー世帯が多いという特性に沿ったテナント誘致戦略がとられるものと推定されます。

 

スターツショッピングセンター(仮)へのリニューアル

そして、スターツさんもその現状や、地域の商業施設、特にフードコートや雑貨などのマルチファンクションの商業施設を求める声を踏まえた結果、マンション計画から方向転換し、この秋にはリニューアルしたのちに「スターツショッピングセンター(仮)」として再オープンされる方向が決定されました。

まず3/22に、浦安市から以下の発表がありました。浦安市の発表によると以下の通り、これまでのイトーヨーカドーを踏襲したようなテナント群のショッピングセンターになることが報告されます。

市では、これまでイトーヨーカドー新浦安店の跡地(明海4丁目1番1)について、今後の土地利用によっては、市民生活に多大な影響を及ぼすことを懸念して、開発事業者であるスターツデベロップメント株式会社に対し、再開発を行う際には、食料品や日用品を取り扱う店舗などの生活利便施設が立地されるよう要望するとともに、工事期間中においても、仮設店舗などの対応を求めてきたところです。
その結果、同社からは、再開発ではなく既存の建築物をリニューアル活用し、スーパーマーケットを中心に、物販やサービス、飲食、クリニックなどをテナントとしたショッピングセンターを平成30年秋に開業するとの方針が示されました。

(出所:浦安市)

そして、同日に店舗壁面に貼られた宣伝のスターツさんからのコメントでも、以下のようにあります。

本館が地域の皆さんの生活に欠かせない利便施設であることから、早期オープンを第一に考え、本館のリニューアルを決定しました

用途地域の変更を検討すべきではないか?

半年間というリニューアル期間から考えると、フードコートを拡張するなど、躯体以外の内装を大きくいじるリニューアル工事が想定されます。

当地域は建ぺい率が80%で、容積率が200%です。

現時点では開示情報から推測すると、土地が3.3万平米で床面積が5.7万平米ですから、容積率は170%、建ぺい率は30%と推測されます。本館をいじらないとしても、建物に隣接して駐車場部分にさらに床面積1万平米の新しい建物を作ることが可能です。

様々な地域開発を手がけるスターツさんなので、本館のリニューアルのみならずそういった新しい発想も今後追加的に発表されるかもしれません。

しかし、そうは言っても容積率200%は少ないでしょう。周りの住居に迷惑をかけないことは大前提ですが、今回の商業施設維持であることを踏まえ、市町村がさだめる用途地域を「商業地域」に改め、容積率をせめて400%くらいにされてはいかがかと思います。

そして防火地区の特例を使い、建ぺい率も100%とする事で現在平置き駐車場になっている場所にも新たな商業施設が作れるような形にしても良いのではないかと思慮致します。

スターツショッピングセンターの店舗計画

そして、3/23にはスターツさんから、公式ウェブサイトに以下のイメージが発表されました。

出所:スターツ社HPプレスリリースより

イメージ画を見ると、エスカレター周りの吹き抜けにカフェのような施設が見えます。

また「Food Hall」と書かれた一階部分のフロアには、フードコートのような施設が描かれています。

そして、外観は銀座の松屋のような色合いです。

スターツさんによる記者会見を元にした報道によると、

スーパーをキーテナントに物販、サービス、飲食、クリニック等で構成する計画

とのことです。

さらには、

店舗内に子供の遊び場も提供される

とのことです。

イメージ図(アリオ葛西の子供向け遊び場)

そして、各階ごとのテナントイメージも報道されました。

店舗は1〜3階で、1階がスーパー、2〜3階が専門店の誘致テナントになる

そして、

総テナント数は80店舗で、アッパークラスのお店を誘致予定

ということです。以下が報道内容です。

スーパーは、現在5~6社と協議しているが、日常使いができる食品スーパーを誘致する計画。専門店フロアは、既存テナントを含め、ファミリー層にとって利便性の高い店舗やアッパーグレードのものを扱う店舗等を誘致する。テナント数は、全80店舗程を見込む。また、地域の人が気楽に立ち寄れる子供の遊び場空間等も設置していく予定。(出所:不動産流通研究所)

 

気になる具体的店舗名は?

気になる具体的な店舗について、具体的に考えていきたいと思います。

資本市場では当たり前ですが、スターツさんは上場企業のため、会社がプレスリリースや記者会見等で広く公式に発表するまでは、社内の情報はインサイダー情報に該当し、その規制の対象となりますので扱いには注意しなければなりません。

従いまして、スターツさんからの公式発表があるまでは、現段階では推測という位置付けとなりますが、未来を想像しながら楽しみながらお読み頂ければ幸いです。

【発表済】ヤオコーが「浦安明海店」として開業予定(1階)

フードコート(ファストフード中心?)

ファミレス(サイゼリヤ?)

雑貨店(ニトリ?)

【発表済】クリニック(イトーヨーカドー時代の場所)

調剤薬局(クリニックが入るなら必ず入る)

100円ショップ等の生活利便店舗

ゲームセンター跡地を子供用プレイスポットなどの集客テナントに

注)繰り返しになりますが、まだスターツさんから公式に発表されたものではなく、今後の動向により、上記は変更の可能性があります。スターツさんの公式発表により確定したことは随時更新致します。

クリニックと薬局(特に調剤)は確定

まずクリニックが入ることは公表されておりますので、それに伴い薬局・ドラッグストアは間違いなく入店するでしょう。場所はイトーヨーカドー時代の場所か、またはクリニック付近にリロケーションされる可能性があります。顧客視点で考えれば近くにあるべきです。

フードコートやレストランについて

フードコートやレストランは改装にはお金がかなりかかるので、基本的には居抜きで活用するはずです。そうなるとイトーヨーカドー時代のレストランおよびフードコートは、そのままの位置で再開される可能性が高いでしょう。

アリオ葛西の成功を見ると、一階の東側半分はフードパークのようにリニューアルするのではないでしょうか。

地域共生の観点から望ましくない店舗

今回のショッピングセンター化の決定は、何より地域のニーズにスターツさんが応えてくださった結果です。

そう考えると、周りにケイヨーD2、ケーズデンキ、トイザらス・ベイビザラスがすでにある中で、これらの企業と競合してしまうような家電量販店やホーム用品店、おもちゃや赤ちゃん商品店をスターツショッピングセンターに新たに導入することは、無用な競争を招き、地域の衰退を招くことになります。これは地域住民は望んでいません。

価格の高止まりが、とおっしゃる方もいるかもしれませんが、競争はアマゾンだけで充分です。実店舗同士は、競争するよりも、共生することがこれからの時代の小売業が成功するポイントでしょう。地域住民としては、全ての店舗がこれからも浦安のために営業を続けて頂きたいと考えています。撤退や淘汰は誰も望んでいません。

 

ゲームセンター跡地の活用方法

また三階のゲームセンターについては、あの場所を子供が遊べるプレイランドにするのかもしれません。有料でグレードの高い遊具を入れるモデルが最近のブームです。

そして、余談であり、かつ提案ですが、米国ではショッピングセンターにVRを使ったLBE(Location Base Entertainment)が、いまショッピングモールの救世主として注目を浴びています。もっとも有名なスタートアップで言えばソルトレイクでビジネスを開始し、ニューヨークへ進出、そしてディズニーにアトラクションを提供することになったVOIDですね。

LBEであれば、ディズニーランドクラスの体験価値を持つアトラクションが、10m四方の小部屋で実現できます。

日本にもディズニーアクセラレータプログラムに採択されたティフォンという会社が、壮大なゴーストハウスアトラクションをお台場で展開しています。非常にセンスの高いアーティストの社長様で、次なる作品もまだ一般公開前ですが、大変素晴らしいものとなりそうなものを仕込み中です。

(出所:Tyffon社HP)

さらにティフォン社はお台場で新しいアトラクション「フラクタス」を導入したそうです!船を舞台にした壮大なアトラクションです。

こんなLBEテナントを誘致すると、ららぽーとにも負けない爆発力ある目玉誘致テナントになるかもしれません。しかも、VRはプログラムなので更新するのも大変安いため、アトラクションを随時更新することが可能です。安定した持続的集客を期待することができ、ディズニーランドとのシナジーや近隣のホテル客の取り込みにもつながるでしょう。

当社は登記はアメリカですが、日本人の会社で、最近日本企業からの増資にも成功しています。今後各地に展開する戦略です。ただし、大手私鉄系やデベロッパーからも沢山の声かけを受けているため、説得には少し時間がかかるかもしれません。

しかし、この戦略は間違いなく今後の商業施設のトレンドになると確信しています。例えば業績絶好調のイオンが広島に新たにオープンする施設にも、こんなVR系エンターテイメント施設が導入されます。

(出所:イオン社プレスリリース)

隣接する市川塩浜にも大規模な商業街区ができますので、スターツショッピングセンターさんにはより、集客が見込める施設設計をご検討頂けたらと思います。

さて、話は戻りますが、躯体をいじらないことで再開までの時間は一気に短くなります。内装のリノベーションに半年もかけるというのは、かなり丁寧なしっかりしたリノベーションを行うということです。これはかなり期待できるのではないでしょうか。

アリオ葛西のように、新たに子供の遊び場もできるそうですから、地域の憩いの場が再びスターツさんの手によって蘇ることになります。

今回のスターツさんによるご決定は、地域としてはとても嬉しく、ありがたいことです。スターツさんへの地域からの信頼は一気に上がったように思います。

 

世界の先端事例からみる次世代ショッピングセンターのあり方

浦安の周辺や日本という近視眼ではなく、世界に目を向けてみると、付加価値をつけたショッピングセンターやモールの在り方が見えてきます。

まずヨーロッパやアメリカを中心として展開されているのが、ドライブスルー型の店舗、通称「click and collect」です。

ネットで事前に注目したものを車で指定した時間にお店まで取りに行くと、車から降りずに商品をもらって帰るだけ。

宅配だと何時間か家で待たないと行けないし、到着時間も不透明。自分の行きたい時間に正確に取りに行きたいというニーズは非常に大きいのです。

車社会の新浦安にはフィットした発想ではないでしょうか。

アマゾンの脅威に晒されているのはアメリカも同じ。そんな中でジャイアントもこうやって進化して、戦い続けているわけです。

せっかく「新」のつく浦安の新しいショッピングセンターですから、こういう新しい取り組みを取り込んでみるのは面白いかもしれません。

 

スターツショッピングセンター化の決定は、浦安の不動産資産価値にも大きな良い影響が想定される

また、不動産価値という観点でも大きな意味を持ちます。

三菱地所が高洲に533戸もの大規模な低層高級マンションを作ることが決まっているため、もしさらにスターツさんがタワーマンションなどを作ってしまうと、新浦安の中古不動産価値は相対的に下落してしまうことになります。そもそもスターツさん自身も販売に苦労して、いきなり減損するリスクを抱えてしまうかもしれません。

そのネガティブ効果のリスクを防げることは、商業施設による地域活性化と同じくらい重要な意味を持つと考えられます。

商業施設の開業による周辺物件の資産価値向上のみならず、供給が減ることによる希少性による価値上昇も期待しやすい効果が生まれます。