様々なメディアでビジネス書として必読と言われているのが「ストーリーとしての競争戦略」と呼ばれる本です。




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人に物事を訴え、説得し、結果を残す戦略とはどうあるべきか、それが書いてあります。

小論文のまとめ本なので繰り返しが多いのですが、一読の価値はある本だと思います。

大きな成功を収め、その成功を持続している企業は、流れと動きを持った「ストーリー」として戦略を組み立ててお、多くの事例をもとに競争戦略の思考パターンを一橋大学の教授である著者が解き明かした本です。

筆者の楠木さんは、この本について、新しいことを書いた本ではなく、当たり前のことを正しくきっちりやり切ることの本質を書いたと言っています。筆者は以下のような思いでこの本を纏めあげました。

当たり前のことをきちんとやる

意味のある問いかけは「そんなに当たり前なことが、なぜ現実の経営のなかではきちんとできないのか」ということです。

言われてみれば当たり前のことでも、言われるまではついつい見過ごしてしまう。大切なことだとわかっていながら、それを見ないようにしてしまう。面倒臭さい。理由はいろいろですが「当たり前のこと」の本質というか、その背後にある論理をじっくりと考えてみる。

そうすれば実際に商売をしている人にとって、何かの役に立つだろうと思って書いたのが『ストーリーとしての競争戦略』という位置付けです。



戦略を作るセンス

どうやったらすぐれた戦略がつくれるのか。

そんなことがすぐにわかってしまえば世の中苦労はありません。だれでも経営者になれます。そんなことがわかってしまったら商売は面白くないです。

この本に関心を持つ人ののほとんどがビジネスパーソンだと思いますが、現代のビジネスパーソンの考え方には傾向があります。

ようするに「新しくてよく効くスキル」を求めている人がやたらと多いのです。今売れているビジネス書も、結論となると「…ということで、これこれのスキルを今すぐに身につけなければならない」というものが多いようです。

しかし、すぐれた戦略をつくるために一義的に必要なのは、スキルではありません。

それは「センス」としか言いようのないものです。英会話や財務諸表の読み方、現在企業価値の計算であれば、スキルを身につければできるようになるかもしれません。ところが、こうした「スキルの発想」ではいかんともしがたいものが、戦略を構想するという仕事なのです。

「異性にモテる・モテない」。これはスキルよりもセンスが重要となる典型例です。モテる人というのはセンスがある、モテない人はセンスがない、としか言いようがない。それはスキルの不足が本当の理由ではありません。センスをスキルとすり替えてしまうと、ますますひどいことになる。モテようと思って雑誌を読む。「こうするとモテますよ!」というスキルが紹介されている。そこにあるファッションやデート方法をそのまま全部取り入れたらどういうことになるでしょうか。むしろ、間違いなく、ますますモテなくなります。

戦略も同じです。本を読んでスキルを身につけて、それでうまい戦略がつくれたら誰も苦労はしません。必要な要素の大半はセンスです。

「スキルでなくてセンスですから」と言い切ってしまうと、多くの人が不安になるでしょう。スキルと違って、どうしたら身につくかすぐにはわからないのがセンスです。



まずはスキルとセンスを区別して考える必要性

アナリシス(分析)とシンセシス(総合)との対比でいえば、スキルというのはアナリシス的発想が前提にあります。個別の担当分野での担当者としての専門能力を磨くという話です。ファイナンスのスキルとか会計のスキルとか法務のスキルとかプレゼンテーション・スキルとかが必要になります。

しかし、戦略の本質はシンセシスですから、スキルばかりを鍛えても、いい経営者を育てることはできません。ひどいことになると、「担当者の仕事」しかできない経営者、「代表取締役担当者」がでてきます。こうやったらセンスがつくという標準的な手法はない。センスは他者が「育てる」ものではありません。当事者がセンスある人に「育つ」のです。

経営には何ができるか。直接的にセンスを教えることはできませんが、センスが育つ環境を整えることはできます。その第一歩は、組織の中で「センスがある人」をきちんと見極めるということです。

センスがあるのが誰かをわかっていて、その人に「商売の塊」を任せ、シンセシスをやらせている会社では、好循環が生まれます。その人の一挙手一投足に注目が集まり、センスがあるとはどういうことか、周りの人にも見えてきます。自然と触発されて、自分の潜在的なセンスに気づき、センスが育つ可能性が増します。

逆に、誰にセンスがあるのかわかっていないと、社員はみんなスキルの獲得に走ってしまい、そうなるとますますセンスが埋没してしまうという悪循環にハマります。

一つの救いは、全員がセンスあふれる経営者になる必要はまったくないということです。100人いたら、2、3人の本当にセンスがある人がいるかいないかです。そういうひとに経営をやらせる。戦略をつくらせる。センスのない人は経営なり戦略の仕事に近づけないことが大切だと思います。

なにも経営や戦略だけがセンスではありません。なんであろうと自分が優れたセンスを持つ領域を見つけて、そこに力を入れればよいのです。スキルも大切ですが、自分がどんなセンスを持っているか、何が好きか、そこにもっと敏感になったほうがいいでしょう。

「センスがいい」とはどういうことか

だれも一言では言語化できません。センスは千差万別です。一つひとつの「センスがいい」(と同時に「センスが悪い」)戦略の事例に当たり、その文脈で「センスの良さ」を読み解き、掴み取っていくような帰納的方法しかあり得ないと確信しています。

絵画や小説と同じで、数多くの優れた戦略ストーリーを鑑賞し、その本質を見て、見破る。その繰り返しのなかで、ゆっくりと、しかし確実にセンスが磨かれていきます。『ストーリーとしての競争戦略』で筆者はこの部分を理論的に纏めようとトライされた本なのです。

大手の商社の中でも「経営人材を育てる」という号令がかかる中、この本は必読書になっています。経営というものにご関心または関与がある方は、一度は読んでいただくと良い本かもしれません。

戦略性を持って浦安のための都市開発計画を作っていけたらと思います。