マーケティングの本質

マーケティングをシンプルに説明するならば、収益性の高い顧客とのリレーションシップを構築することと言えます。マーケティングの目標は2つあり、優れた価値を約束して新しい顧客を開拓すること、そして満足感を与えて既存顧客の維持拡大をすることであると言われています。

エクスペディアはホテルの最安値を顧客との間で約束し守り続けてきたからこそ、顧客は安心してエクスペディアでホテルの予約ができます。

新幹線は99.7パーセントで定時運行を行っているからこそ、時間厳守が必須なビジネスマンからの高い信頼を得ることが出来ています。



マーケティングの定義

マーケティングとは一体何か?という問いについてですが、消費者調査をしたり広告を出すことと言うのは単にその機能の一部でしかありません。

現代のマーケティング活動は単に物売ると言うことではなく、顧客のニーズを理解し、顧客が求めている価値を提供する商品を開発し、それを適切な価格、流通、プロモーションによって市場に流していくことが求められています。

さらに昨今ではICTの普及により、さらに次世代のマーケティングへとステージが進んでいます。すなわち企業側が一方的な活動を行うのではなく、ICTを使った双方向のコミニケーションが行われ、それによって新たな商品サービスが生まれていくというプロセスが現代のマーケティングにおいて重要な役割を果たしています。

某テーマパークのマーケティング担当者は、マーケティングとは「売れる仕組みを作ることである」と言っていました。

ドラッカー先生も「マーケティングの究極の目的は販売活動を不要とすること」と言っています。

また、フィリップコトラー先生がその著書の中で言っていたマーケティングの本来の意味は個人や組織が製品サービスを作り、それを他者と交換することによって、必要なものや欲しいものを獲得する社会的かつ経営的なプロセスのことと定義をしていました。それを現代に置き換えてみれば、顧客が求める価値を創造し、顧客と強固なリレーションシップを構築し、その見返りとしてお客から価値を得るプロセスがマーケティングである言えます。

マーケティングのプロセス

このようなマーケティングを実現するために必要な各プロセスを因数分解してみます。マーケティングは大きく5つのステップに分かれていると言われています。

ステップ1 顧客のニーズの理解
ステップ2 顧客主導型マーケティング戦略の設計
ステップ3 マーケティング計画の設計
ステップ4 実際のお客とのリレーションシップの構築
ステップ5 顧客からの価値の獲得

顧客のニーズの理解とは読んで字のごとくです。しかし、大切なポイントとしてマーケティングの近視眼に陥らないことが重要です。

有名な話としては、板に穴を開けるドリルメーカーは、顧客が本当に欲しいものはドリルではなく穴であると言うことを理解しなければならないという小話があります。

ドリルメーカーは、より良いドリルを作ると言う事に意識を向けすぎると、例えば最初から穴が開いている板が販売されると壊滅的な打撃を受けることになります。顧客が本質的に欲しいものを提供することに常に意識を向ける必要があります。

顧客主導型マーケティング戦略の設計とは標的とする顧客を見つけて自らの商品に関心を向けさせそれを工場につなげる戦略の設計です。有名な分析ツールとしてはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングを考えるSTP分析が挙げられます。

これにおいてどのような顧客をターゲットとしてどのような価値を提供するかが決まったならば、次はマーケティング計画の設計に入ります。具体的には1,950年代頃より使われているマーケティングフレームワークである4P、すなわち製品、価格、流通、プロモーションについての設計に入ります。

ここまでで企業が提供する商品サービスの大枠については固まってきた状態です。そしてここからが1番重要な顧客リレーションの構築に入ります。

顧客リレーションシップマネジメントとは優れた顧客価値と顧客満足の提供により、収益性の高い顧客リレーションシップを構築、維持していくプロセスを作り上げることであり、顧客の獲得から維持拡大までを狙う戦略の設計です。

永続的な顧客リレーションシップを構築することで製品サービスに満足した顧客はその企業に親しみや愛着を抱き、最終的に彼らがロイヤルカスタマーとしてセールス活動を行ってくれます。これが究極の顧客リレーションの状態です。

この状態を作り出すためには顧客満足のメカニズムを理解する必要があります。顧客の満足度は単純に商品の価値だけでは決まりません。

顧客満足に重要な影響を与える大きな要素は、利用/使用前の期待値です。すなわち、期待値と同じ位のサービスを受けた場合には普通の満足防止、期待値を下回った場合には不満を覚えます。そして期待値を上回った場合には感動を感じます。一方で、常に期待値を上回るサービスを行おうとすると、顧客の期待値がどんどん上がっていってしまい、結果として企業自らを苦しめることにもなります。

重要な事は顧客の期待値を適切なレベルで維持し、常にそれを少し上回る程度の約束された商品・サービスレベルを必ず提供し続けることです。

ばらつきがあってはなりません。そして特別な日には、顧客にそれが特別であることをしっかりとわからせた上で最高のサービスを提供する必要があります。そうでないと後でサービス改悪と言われてしまうリスクがあるからです。決算セールと言って特定商品の大幅割引をすることで人を集める小売販促はまさにこの事例でしょう。

これらのステップを経て、企業は満足いただいたお客様からその見返りとして価値をお支払いいただくことになります。これらの全体的な企業活動の流れをまとめ上げる機能がマーケティングです。

このマーケティング手法は企業活動のみならず、公共サービスの設計や、政策提言などにも大きな力を発揮します。マーケティングのコンセプトを理解した人が作ったものとそうでないものは、顧客である受益者がうける恩恵、また、その対象物の発展や成長には大きな違いが生まれることになるでしょう。

マーケティング理論と浦安シティ・プロモーション

マーケティングはどの分野においても極めて重要な考え方であり、浦安市のシティ・プロモーション戦略を考える上でも、このようなマーケティングの各ステップを踏んでいくことが大切でしょう。

シティ・プロモーションについては業者への丸投げではなく、また、感覚的な思いつきで行うべきではなく、しっかりと科学的なアプローチを進めていくことが肝要ではないでしょうか。