先日イクスピアリの一風堂に行き、インバウンド客の多さに驚きました。海外での一風堂の知名度の高さが伺えます。ではどうしてこんなに一風堂は有名になったのでしょうか?

その答えを探るために、一風堂の海外戦略を調べるべく、一風堂マレーシア・クアラルンプール店を取材することにしました。

一風堂は、官民ファンドであるクールジャパン機構からの出資支援を受けて海外出店を加速させています。

平日の夜ですが店内は満席です。

日本のラーメン屋とは違い、ラーメン以外の居酒屋料理も充実しています。

お客さんはラーメンはもちろん、日本のおつまみを堪能するため数時間夕食を楽しみます。

ラーメンを知らない外国人のためには、説明書があります。ズズッと音を立てて食べることが最高のラーメンの楽しみ方だ!と書いてありました。

ラーメンのクオリティは日本のそれと全く同じでした!ここまで同じものを出しているとは思わず、良い意味で期待を裏切られました。

このお店だけで十分美味しいので日本の本場に行く必要がないんだよ、と現地人は笑って話していました。

とは言え、彼らが日本に来た時には、必ず比較したくなって本場一風堂に足を運ぶことは間違いありません。

やはり海外のレストランなので、デザートは充実しています。かの有名なアイスモナカが日本のコンビニの数倍の値段で売られています。

 

浦安市のシティプロモーションのあるべき姿

このクアラルンプール店のような海外店舗は、オフサイトにおけるアンテナショップと言えます。

しかしそのクオリティの高さには驚きました。

とりあえず観光案内所のようなアンテナショップを離れた地域、例えば国内なら大阪や福岡、または海外に作れば良いと言う訳ではないことを示しています。

浦安の「本物」をリアルに体験でき、浦安市に行ってみたいと思わせる必要があります。

しかし浦安の本物とは一体なんでしょうか?アサリやき?魚料理?

今の浦安市には、アンテナショップに適したコンテンツは今はまだ中々難しいかもしれません。

では浦安のシティプロモーションはどうすれば良いのでしょうか。

それを考える上ではマーケティング=広告、という旧態の発想を捨てないといけないように思います。

一風堂のアンテナショップとしての成功の本質は、このアンテナショップで本物を味うことができ、それを利用者自らが情報発信する点が大きなマーケティング効果となっていることです。

一風堂を味わったインバウンド客がSNSに投稿し、それを見た多くの人が次々とやってきます。そして、日本旅行の際には、本場の本店にも行きたくなるように誘導される拡散型のマーケティング効果が、自発的に発生するのです。しかも、店舗側には1円もマーケティング費用はかかりません。

中でも、アジア人は広告よりも、知っている人からの推奨を何より重視して購買の意思決定をすることが知られています。

そう考えると、浦安市は、来訪客がSNSに投稿、ツイートしたくなるような観光コンテンツを構築することに集中すべきと言えます。

今の不十分な観光コンテンツのまま、新しいマーケティング動画を作ったり、遠隔地に浦安のアンテナショップ/観光案内所を作っても、失敗するリスクがあります。

例えば、前回のシティプロモーションの2億円近いお金がもし手元にあれば、三番瀬に素晴らしいカフェを作ることもできます。

そこから見る美しい三番瀬の夕焼けの様子ならば、来訪者は自らSNSに投稿したくなるのではないでしょうか。

そのような観光コンテンツを浦安市は作るべきであり、それを考えることが浦安のミッションだと思います。

シティプロモーションは、「プロモーション」という言葉のみに踊らされるべきではないと考えています。

来訪者が自ら勝手にプロモーションしたくなるような素晴らしい観光コンテンツを作っていくことこそが、最高のシティプロモーションではないでしょうか。

浦安は幸いホテルはたくさんあり、たくさんの来訪者がディズニー目当てに来てくれる場所という強みがあります。そこからもう一歩ディズニー外に足を踏み出してもらえるようなコンテンツをぜひ作りたいところです。

三番瀬の解放という市長公約ですが、単に高洲の公園のように海辺にアプローチできるようにして終わりでは、人は呼ぶことはできません。

また、三番瀬学習センターとして小さな建物を作ることもあまりにも土地の使い方は勿体ないでしょう。

真剣にゼロベースで、浦安市は今何をすべきかについて再考するタイミングに来ているように思います。